北九州に160万kWの天然ガス発電所、2020年から順次運転開始へ:電力供給サービス
九州の北部を中心に事業を展開する西部ガスが大規模な火力発電所の建設計画を着々と進めている。最新のコンバインドサイクル発電方式を採用して、4基で160万kWの電力を供給する予定だ。隣接地にLNG基地と太陽光発電所が稼働中で、電力とガスを合わせたエネルギーの拠点を拡大する。
西部ガスは福岡県の北九州市にある響灘(ひびきなだ)地区に「ひびき天然ガス発電所(仮称)」を建設する計画で、工事に向けて環境影響評価のプロセスを実施中だ(図1)。
全体で4段階あるプロセスの第2段階にあたる「方法書」を1月15日に経済産業大臣に提出した。今後3年程度で手続きを完了できる見込みで、2018年度から工事に入る予定である。
ひびき天然ガス発電所は現在の火力発電で最高レベルの発電効率になるコンバインドサイクル方式を採用する。発電設備1基あたりで40万kWの能力を発揮して、4基の合計で最大160万kWの電力を供給する計画だ。1号機は2020年度に運転を開始する予定で、2号機を2021年度、3号機を2024年度、最後の4号機を2026年度に稼働させて工事を完了する。
現在のところ九州には大規模な天然ガス火力発電所が2カ所しかない。九州電力の「新大分発電所」(発電能力230万kW)と「新小倉発電所」(同180万kW)で、このうち新大分はコンバインドサイクル方式を採用している。ひびき天然ガス発電所が全面稼働すると、九州地域の供給力が大幅に高まり、電気料金の価格低下にもつながる期待がある。
西部ガスは建設予定地の隣で「ひびきLNG(液化天然ガス)基地」の運用を2014年11月に開始した(図2)。世界最大級のLNG船の受け入れが可能な大型の基地で、ガスと電力の両面で供給力の拡大とコスト削減を図る体制ができあがっている。
隣接地には発電能力が20MW(メガワット=1000kW)の太陽光発電所も2014年10月に運転を開始した。天然ガスと再生可能エネルギーの2本立てで供給力を増強する戦略だ。電力に続いてガスの小売全面自由化を2017年4月に実施することが確実になっている。西部ガスは電力とガスを合わせた供給・販売力を高めて顧客を拡大していく。
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