最大出力40MWの蓄電池が仙台市で稼働、太陽光や風力の導入量を拡大へ:蓄電・発電機器
東北電力は仙台市にある基幹の変電所に大型の蓄電池を設置して営業運転を開始した。地域内の発電設備から送られてくる電力の出力変動を抑制して、天候の影響を受けやすい太陽光や風力の導入量を拡大するための取り組みだ。蓄電池には最大で40MWの電力を充電・放電することができる。
東北電力は仙台市の「西仙台変電所」に大型蓄電池システムを導入して、2月20日に営業運転を開始した。この蓄電池システムは国の補助金を受けて2013年11月から工事を進めてきたもので、6000平方メートルに及ぶ用地に蓄電池コンテナを設置して大量の電力を充放電することができる(図1)。
東北では北海道や九州と同様に太陽光と風力による発電設備が急増した結果、送配電ネットワークの許容量を超えるレベルの電力が集中する可能性がある。特に問題になるのは、天候の影響によって発電設備の出力が変動して、送配電ネットワークを流れる電力の周波数が不安定になることだ。
従来は火力発電の出力を調整して対応してきたが、太陽光と風力の導入規模が拡大したために、基幹の変電所に大型の蓄電池システムを導入して調整能力を増強する。同じ仙台市内の東北電力本店にある中央給電指令所から遠隔で蓄電池システムを制御する仕組みだ(図2)。
蓄電池システムには大出力にも対応できるリチウムイオン電池を採用した。定常的な最大出力は20MW(メガワット)だが、短時間であれば40MWの電力まで充電・放電することができる。蓄電できる電力の容量は2万kWhである。一般家庭が1日に使用する電力量(10kWh)に換算して2000世帯分に相当する。
東北電力は蓄電池と火力発電を組み合わせて周波数を最適に制御する方法を確立する計画だ。合わせて蓄電池の性能評価や再生可能エネルギーの導入量を拡大する効果についても検証する。実証実験は2017年度まで継続する予定である。
蓄電池を設置した西仙台変電所は青森県から福島県を結ぶ50万ボルトの送電線につながる基幹の変電所の1つに位置づけられる(図3)。実証実験を通じて蓄電池の導入効果が実証できれば、東北電力の管内に限らず全国の主要な変電所に蓄電池を導入する取り組みが加速する。
国内では九州電力が2〜3MWクラスの蓄電池を離島の変電所に設置して同様の取り組みを進めているが、出力20MWクラスの大型蓄電池による試みは東北電力が初めてだ。北海道電力も国の補助金を受けて、15MWの大型蓄電池を2015年度内に基幹の変電所の1つに導入する。
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