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太陽光の発電量を予測する新サービス、気象衛星のデータで6時間先まで自然エネルギー

日本気象協会は気象衛星「ひまわり」の画像をもとに、日射量や太陽光発電量を独自の手法で予測するサービスを開始した。30分ごとに6時間先までの予測データを発電事業者などに提供する。全国各地を1キロメートル単位でカバーして、発電量の予測が難しい太陽光発電の導入を促進する狙いだ。

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 新サービスの名称は「SOLASAT-Nowcast」(ソラサット・ナウキャスト)で、電力会社を含む事業者向けに3月30日から提供を始めた。これまで日本気象協会は全国の気象観測所からのデータによる「アメダス」(地域気象観測システム)の日照時間をもとに日射量を予測してきた。新サービスでは気象衛星「ひまわり」の画像から日射量を予測する独自の手法を使って、従来よりも予測精度を最大30%向上させる。

 気象衛星の観測データから雲の動きを解析して、30分間隔で6時間先まで日射量を予測する(図1)。予測地点は全国を1キロメートル単位の格子状に設定することができる。それぞれの予測値は30分ごとに更新しながら、常に6時間先までのデータを提供していく。さらに太陽光発電設備の仕様に合わせて発電量の予測も可能だ。


図1 日射量予測サービス「SOLASAT-Nowcast」の提供イメージ。出典:日本気象協会

 新サービスには3種類のメニューがある。1つ目の「SOLASAT-Now」は、国内の任意の地点における日射量と太陽光発電量の最新予測データを提供する。発電事業者などがメガソーラーの発電量を予測して需給調整に役立てる。2つ目は「SOLASAT-DB」で、SOLASAT-Nowで提供する日射量の推定データを蓄積したものだ。過去の日射量をもとにメガソーラーの事業性を評価する用途などに生かす。

 以上の2種類とは別に、世界の気象衛星の画像から日射量を予測するのが3つ目の「SOLASAT-Global」である。世界各地を5キロメートル単位の格子状に分割して日射量を予測したうえで、過去のデータと合わせて提供する。海外でメガソーラーの適地を選定する作業などに利用できる。

 日本国内では北海道や九州をはじめ全国7つの地域で太陽光発電設備の接続が制限を受ける状況にある。ゴールデンウイークなど電力の需要が少ない時期に太陽光の発電量が多くなると、供給量が需要を上回って電力を不安定にさせる可能性があるためだ。電力会社は需給状況に応じて太陽光や風力の出力を抑制する予定で、その判断に気象データを利用することも考えられる。

 日本気象協会は気象予報の分野では民間で最大の事業者で、最新の気象情報を24時間365日の体制で発信している。最近では日射量の予測サービスなど再生可能エネルギーの分野にも力を入れている。

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