風力発電が全世界で急拡大、2014年に導入量が44%増加:自然エネルギー
中国を筆頭に世界各国で風力発電の導入が活発だ。2014年には全世界で5000万kWを超える発電設備が運転を開始した。前年から44%も増えて過去最高の導入量である。全体の半分近くを中国が占めたほか、ドイツや米国でも着実に増えている。洋上風力では英国が圧倒的な勢いを見せる。
風力発電産業の国際団体であるGWEC(グローバル・ウインド・エナジー・カウンシル)が2014年の世界各国の導入状況をまとめた。新規に運転を開始した風力発電設備は全世界で5147万kW(キロワット)に達して、低調だった前年と比べて44%の大幅な伸びを記録した(図1)。
特に新興国で風力発電が急速に拡大している。第1位の中国が世界全体の45%を占める驚異的な導入量を記録したのに続いて、ブラジルとインドも200万kWを超えて第4位と第5位に入った(図2)。このほかにトルコ、メキシコ、南アフリカ、チリでも年間の導入量が50万kW以上になっている。
先進国ではドイツと米国が中国に次ぐ規模で風力発電を増やしている。これに対して日本の導入量は13万kWにとどまり、中国と比べると2ケタ少ない(図3)。2014年に限ればパキスタンやフィリピンにも抜かれた。2012年から出力が1万kW以上の風力発電設備を対象に環境影響評価を義務づけた影響が大きい。国土が狭い日本では致し方ないところだが、ようやく2015年に入って建設工事が各地で進んできた。
今後は洋上風力の拡大も期待できる。世界全体では2014年末の時点で875万kWの洋上風力発電設備が運転中で、そのうち半分以上を英国が独占している(図4)。ドイツでも洋上風力が伸びているほか、中国も2014年だけで20万kWを超える発電設備が洋上で運転を開始した。日本では2014年の導入量はゼロだったが、2015年内には福島沖で浮体式の超大型機が稼働する予定だ。
GWECは2015年以降も風力発電の導入量は全世界で増え続けると予想している。日本でも2015年には再び成長が始まることを想定しているが、緩やかに進んでいくとみている。その理由として「電力市場の改革ペースが遅く、既存の発電設備を切り離すまでに時間がかかる」ことを挙げた。再生可能エネルギーを拡大する世界の動きに、日本が取り残されるわけにはいかない。
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