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お菓子と同じ紙箱を使う非常用マグネシウム空気電池、炭酸飲料でも発電可能:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
凸版印刷は「第6回 高機能フィルム展」で、古河電池と共同開発した非常用マグネシウム空気電池「MgBOX(マグボックス)」を展示した。4つの電池セルそれぞれに、500mlの水を注入すれば300Whの電力を発電できる。
紙箱にバリアフィルムをラミネート
マグボックスは、非常用の電力源として利用しやすいことに焦点を置いて開発された。そこで重視されたのが、発電するのに必要な水に大きな制限を設けないこと、持ち運びが容易なように軽量であること、非常食などと同程度の長期保管が可能なことだ。
まず水については、きれいな水だけでなく、雨水や川の水、海水でも発電できる。さらに、発電性能が少し落ちるものの、ジュースや炭酸飲料、お茶、尿なども使えるという(図2)。
軽量化で大きな役割を果たしたのが、凸版印刷の「紙製複合容器技術」だ。マグボックスは紙製容器を用いているので、水を入れない状態であれば1.6kgと軽量だ(注水後は2l(リットル)の水が入るので3.6kgになる)。同じ容量となる単一形のアルカリマンガン電池32本分の重量が4.5kgなので、約3分の1になる。
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