府をまたいで水素を融通、京都と大阪に初の商用水素ステーション:電気自動車
京都府に府内初となる水素ステーションの設置が決まった。オフサイト方式の水素ステーションで、こちらも大阪府初となる商用ステーション「北大阪水素ステーション」から水素の供給を受ける。
京都府に府内初となる水素ステーションの設置が決まった。大阪ガスが建設を担当し、京都市南区に位置する天燃ガスステーション「上鳥羽エコ・ステーション」に「上鳥羽水素ステーション(仮称)」(図1)として併設する。建設に関しては経済産業省の「水素供給設備整備事業費補助金」の交付を受けており、完成は2015年末を予定している。
京都府は次世代自動車の導入に率先して取り組んできた県である。2009年に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の普及に向け「京都府電気自動車等普及促進条例」を制定している。翌年の2010年3月には同条例に基づく5カ年計画として「京都府電気自動車等普及促進計画」を策定し、府内への充電設備の設置などEVやPHVの普及に向けた取り組みを進めてきた。同計画は2014年3月に3年の延長が決定。この時点ではEVやPHVが対象だったが、同年12月に燃料電池車(FCV)の普及に関する取り組みも織り込まれた。
具体的な取り組みとしては、EVやPHVの普及に取り組む産学連携組織である「次世代自動車普及推進協議会」の中に「FCV・水素社会研究部会」を設置し、京都府内におけるFCVの普及に向けた情報収集や、水素産業の創出に向けた調査研究を行っている。2015年度からはFVCを活用したカーシェアリングの実施も検討しており、これに向け京都府は関係事業者との協議を重ね、水素ステーションの府内への誘致を目指していた。
大阪府の水素ステーションから水素を運搬
今回京都府に建設される上鳥羽水素ステーションは、水素タンクなどの機器を備えたトレーラーなどからFCVに供給を行う移動式の水素ステーション。つまり水素の製造装置は備えていないため、外部から水素を運搬してくる必要がある。
その供給源となるのが大阪ガスが大阪府茨木市に建設した「北大阪水素ステーション」だ。こちらは水素ステーション内で都市ガスを改質して水素を製造するオンサイト方式を採用している。2015年4月21日に開設が予定されており、大阪府内で稼働する初の商用水素ステーションとなる。
現在、関西区域(近畿6府県)で稼働している商用水素ステーションは、開設が近い北大阪水素ステーションを含めても、その他には兵庫県尼崎市の「尼崎水素ステーション」のみ(関連記事)。建設が進んでいる商用水素ステーションとしては、関西国際空港と滋賀県大津市の2カ所があるが、3カ所目として新たに京都府の上鳥羽水素ステーションが加わることになる。
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