温室効果ガス増加、火力発電と代替フロンが要因:法制度・規制
環境省と国立環境研究所は、2013年度の日本の温室効果ガス排出量の確定値を発表した。総排出量は14億800万トン(二酸化炭素換算)で前年度比1.2%増加した。また2005年度と比較しても0.8%の増加となっている。
環境省と国立環境研究所は毎年温室効果ガスの排出量を算出して発表を行っており、2014年11月には、2013年度(2014年3月期)の速報値を発表しているが、このほど確定値の発表を行った。
総排出量は前年度比1.2%増の14億800万トンとなった。火力発電の石炭の消費量や、業務その他の部門での電力や石油製品の消費量の増加により、エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量が増えたことなどが要因となっている。政府は2020年度(2021年3月期)の温室効果ガス削減目標の基準年として2005年度(2006年3月期)を据え「3.8%削減」という目標を掲げて取り組みを進めているが、この数値に対しても0.8%(1100万トン)増という結果となっている(図1)。
温室効果ガスには二酸化炭素(CO2)、メタン、一酸化二窒素、代替フロンなど4ガス(ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類、六フッ化硫黄、三フッ化窒素)があるが、排出量全体の9割以上をCO2が占めている。
2013年度のCO2の排出量は13億1100万トンで、前年度比で1.2%(1520万トン)増加した。部門別にみると工場など産業部門は排出量が4億2900万トンで同0.7%(270万トン)減少している。鉄鋼業や窯業土石製品工業では増えたものの機械製造業、食品飲料製造業で210万トン減ったことなどによる。
運輸部門(自動車など)の排出量も2億2500万トンで同0.7%(160万トン)減。旅客輸送(自動車など)が1.2%、170万トン減少したことなどで減った。業務その他部門(商業・サービス・事務所など)では2億7900万トン、同9.9%増(2500万トン)と大きく増加した。電力や石油製品の消費量が増加したことなどによる。家庭部門は2億100万トンで同1.3%、270万トン減。省エネの取り組みが進展したことや寒さが厳しかった前年冬に比べ灯油などの燃料消費量が少なかったため減少した。エネルギー転換部門(発電所など)のCO2排出量は1億100万トンで同3.8%(390万トン)の減少。ガス製造時の自家消費での排出量が減ったためなどと見られる。
エネルギー起源のCO2の排出量は、前年度比1.1%増の12億3500万トンとなっている。一方、非エネルギー起源CO2は7590万トンとなり、同1.8%(130万トン)増加している。東日本大震災の復旧・復興工事の進展をはじめとした国内需要の回復に伴うセメント生産量の増加などにより、工場プロセスおよび製品の使用分野で排出量が同3.9%(180万トン)増加したことなどがその要因とされている。
電源種別の発電電力量とCO2排出量を見ると、2013年度は両者ともに微減。しかし、原子力発電停止による影響で、石炭火力とLNG火力の比率が高まっており、これによりCO2排出量についても高止まりが続いている状況だ(図2)。
代替フロンの排出に規制
一方、2005年度と比較した場合に、増加した要因として大きいのが、火力発電の発電量増加とともに、フロンなどオゾン層破壊物質の代替物として冷媒で利用が進んだハイドロフルオロカーボン類(HFCs)の排出量増加だ。代替フロンなど4ガスの2005年度の排出量は2770万トンだったのに対し、2013年度の排出量は3180万トンで2005年度比で39.5%も増加している。
これらの代替フロンの排出による温暖化対策として、2015年4月から代替フロンも対象に含めた「フロン排出抑制法」が施行されており、今後の抑制が期待されている(関連記事)。
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