アップルの再生可能エネルギー利用率が87%に、太陽光・風力・小水力・地熱を活用:自然エネルギー(2/2 ページ)
2015年4月22日の「アースデイ」に当たり、アップルは環境問題への取り組みをまとめた。同社は事業運営において再生可能エネルギーの利用率100%を目指して投資を進めているが、現在は87%まで高まっていることを明らかにした。
さまざまな再生可能エネルギーを組み合わせて活用
アップルの取り組みでユニークなのは、それぞれの地域に合わせたさまざまな再生可能エネルギーを組み合わせて利用している点だ。
例えば、ノースカロライナ州メイデンにあるデータセンターでは、エネルギーの60〜100%をアップルが保有する、バイオガス燃料電池と、20MWの太陽光発電装置2基を使って賄っている。さらに2015年中に新たに17MWの太陽光発電装置も完成予定だとしている。
オレゴン州プラインビルにあるデータセンターでは、マイクロ水力発電システムを建設。同システムでは現地のかんがい用水路を流れている水の力を活用する。さらに、このマイクロ水力発電を補完するため、現地の風力発電も利用する。
ネバダ州リノにあるデータセンターでは、現地の電力会社と協力して、湾曲した鏡で太陽光を集める新しいタイプの太陽光発電パネルであるC7ソーラーパネルを使った、20MWの太陽光発電装置を共同開発。さらにエネルギーが必要な時は、現地の地熱エネルギーや他の太陽光発電の供給源を利用する。
2013年1月に100%再生可能エネルギー化に成功したカリフォルニア州ニューアークにあるデータセンターは、主に風力発電による電力で運営を行っている。カリフォルニア州の直接取引(Direct Access)プログラムを利用して、卸売市場から直接電力を取得しているという。
米国外の再生可能エネルギーも活用
米国外の再生可能エネルギー獲得の準備も着々と進めている。2017年に稼働予定のアイルランドのゴールウェイ州にできるデータセンターでは、風力発電を中心に再生可能エネルギーで100%賄う予定だという。
同じく2017年に開設予定のデンマークのユトランド半島中部のデータセンターについても風力発電を中心とした再生可能エネルギーで電力を賄う。同データセンターは、デンマーク最大の変電所の1つに近接しており、発電機を追加する必要がないという。さらに、設備から発生する過剰な熱をとらえて地域の暖房システムに送る設計なども用意する計画だとしている。
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