電力小売全面自由化を控え、新電力向けのポイントサービス導入を支援:電力供給サービス
大日本印刷の子会社でコンサルティング業務を行うエムズコミュニケイトは、ネットマイルと提携し、電力会社と新電力(PPS、特定規模電気事業者)向けにポイントサービス導入支援サービスを開始すると発表した。
2016年4月の電力小売全面自由化を控え新電力(正式名称は「特定規模電気事業者」)の差別化に向けたさまざまなサービスやソリューションの提案が活発化している。大日本印刷(DNP)の子会社で、コンサルティング業務を行うエムズコミュニケイトとネットマイルが新たにサービスを開始したのが、新電力向けのポイントサービス導入支援だ。
2020年4月に発送電分離が予定されている(関連記事)が、新電力にとっては自社の電力供給サービスを利用してもらうためには、自社の電力供給プランやサービスの付加価値を提案していかなければ差別化できない。それぞれの企業が独自の事業基盤や強みを生かした価格設定やサービス提供を進めており、その1つとして新規顧客の獲得と顧客維持のためのポイントサービスが注目を集めている。
一方で、ポイントサービス導入を提案するコンサルティング会社は「ポイント発行システムの構築までは行うものの、実際の運用方法や導入までの具体的なマーケティング戦略までフォローしている例は少ない」とエムズコミュニケイトは実情を分析する。
そこで、同社では今回、複数の電力会社へのポイントサービスの実績があることを生かし、電力会社ならではのポイントサービスと運用体制の支援に特化したメニューを開発。インターネット市場でのユニバーサルポイントプログラム「ネットマイル」のサービスを運営するネットマイルとともにサービスを提供する。
電力を利用する顧客への調査などで現状サービスの問題点を抽出することで、顧客に認知、共感される最適なポイントサービスの戦略と戦術の設計を行う。基本的な戦略に基づいたポイントサービスを紹介するパンフレットやWebサイトなどを制作し、実際に顧客がWebサイト内でアクションを起こすことでポイントが加算されるようなサービスを提案する。
さらにKPI(業績評価指標)の設定や運用マニュアルの作成、勉強会の開催やプロモーション戦略の策定から、ポイントサービスの運用や顧客対応支援、PDCAおよび効果検証の請負、獲得したポイントを提携する他の企業ポイントに変換するプログラムの提供なども実施する。価格は500万円(3カ月間)から。期間によって価格は変動するとしている。
今後、両社は既存の電力会社や電力自由化市場に参入している企業、ガス会社、住宅関連会社にこれら運用支援業務を提供し、2016年度までに累計で30件の受注と20〜30億円の売り上げを目指すとしている。
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