太陽光の買取価格を高く適用できる、認定申請は5月29日までに:法制度・規制
固定価格買取制度が4年目に入る2015年度は太陽光発電の買取価格を決めるルールが変わった。非住宅用の買取価格は7月認定分から2円引き下げられる。6月中に高い買取価格で認定を受けるためには、遅くとも5月29日までに申請書を提出する必要があることを資源エネルギー庁が公表した。
太陽光発電の買取価格を決めるルールの変更点は2つある。1点目は非住宅用の太陽光発電の買取価格が7月の認定分から安くなる。2012年7月に始まった固定価格買取制度は当初3年間の買取価格を高く設定する方針で実施してきた。発電事業者の利潤を高めるための措置で、効果が大きかった非住宅用の太陽光だけは4年目の2015年7月1日から標準的な算定方法に戻す(図1)。
この結果、6月30日までに認定を受けた設備の場合には電力1kWh(キロワット時)あたりの買取価格が29円(税抜き)になるのに対して、7月1日以降の認定設備では27円に下がる(図2)。発電事業者にとって2円の差は大きな違いだ。
資源エネルギー庁は5月1日(金)までに申請書が届いた場合には6月30日までに認定する方針で処理を進めてきた。まだ処理能力に余裕があることから、5月29日(金)までに申請書が届けば6月30日までに認定できる状況になった。4週間の延長だが、確実ではないので早めの申請が望ましい。
ルール変更の2点目も発電事業者にとっては悩ましい問題だ。買取価格を確定させるための条件は2つある。国から設備の認定を受けることに加えて、電力会社と接続契約を結ぶ必要がある。従来は接続を申し込んだ時点で買取価格を確定できたが、2015年度からは太陽光発電に限って実際に接続契約を締結した時点に変更になった(図3)。
発電設備の出力が50kW(キロワット)未満の低圧の場合には接続の申込から契約締結まで短期間で完了するが、50kW以上の高圧になると2〜3カ月かかるケースが多い。ということは6月30日までに接続契約を結ぶためには、遅くとも4月中に接続の申し込みを済ませておかないと間に合わない可能性が大きい。
この2つ目のルール変更は7月1日以降に認定を受ける太陽光発電設備にも影響を及ぼす。電力会社が接続の申込を受け付けてから契約を締結するまでの期間は最大270日まで認められている。2015年度中に契約を締結して買取価格を確定させるためには、遅くとも7月3日(金)までに接続を申し込まなくてはならない。すでに残り2カ月を切っている状況だ。
太陽光発電の買取価格は建設費の低下に伴って年度ごとに引き下げられてきた。2016年度の買取価格が下がることはほぼ確実で、2〜3円程度の低下が見込まれる。特に規模の大きい太陽光発電設備の建設を計画している事業者は、認定の申請と合わせて接続の申し込みを急ぐ必要がある。
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