ヤクを守る太陽光発電、アップルが中国での再生可能エネルギ―利用率を拡大:自然エネルギー
米アップル(Apple)は中国における新たな環境問題への取り組みを発表した。再生可能エネルギーの利用拡大と森林保護プログラムへの取り組みを強化する。
アップルはグローバルでの環境問題の取り組みを強化しており、自社の全事業所、データセンター、アップルストアなど全自社施設において、再生可能エネルギーの利用率100%を目標に取り組みを進めてきている。目がソーラーや風力発電、小水力発電などを利用することで、2010年には16%だった再生可能エネルギーの利用率は、2014年には87%まで高まったとしている(関連記事)。
これらの取り組みをさらに広がるべく、アップルでは中国の四川省において大規模なメガソーラーをこのほど稼働させた。米サンパワーや中国Tianjin Zhonghuan Semiconductorなどの企業と提携して実現したもので、20MW(メガワット)のソーラーファームを2基用意した。総発電量は40万MWとなり、年間最大8000万kWhのクリーンエネルギーを生み出す予定としている。これは中国の家庭6万1000世帯の電力供給量に匹敵する大きさで、これにより、中国にある全てのアップル関連オフィスとアップルストアで使用されるエネルギーを満たすことが可能になるという(図1)。
ヤクを含む生態系への配慮
ソーラープロジェクトは生態系への影響を最小限に抑えるように配慮が施されているという。特に、地域経済にとって重要なヤクの集団が生活しやすいように支援するため、草原を保護するように設計されていることが特徴だ(図2)。ヤクとは中国、インド、パキスタンなどに生息するウシ科の動物で、乱獲により生息数が激減しているため中国では保護の対象となっている。
さらに、これらの再生可能エネルギーの活用に合わせて、世界自然保護基金(WWF)と提携し、中国の森林を最大100万エーカーを保護するプロジェクトなどにも取り組んでいくとしている。
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