原子力には厳しい目線、電力会社選択で8割以上が「何で発電しているか」を重視:電力供給
日本生活協同組合連合会は全国約1000人を対象に行った「これからの電力のあり方についての消費者意識調査」の結果を公開した。一般消費者は電力会社を選択する際に電源構成をに関する情報を重視しており、原子力発電に対しては依然として厳しい目を向けていることが分かった。
2016年4月から家庭向け電力の小売が全面自由化されるが、一般消費者は電力会社を選ぶ基準として火力発電や原子力発電、再生可能エネルギーなどの電源構成に関する情報を重要視していることが分かった。また、電力会社がその情報を公開することを義務づけるよう強く望んでいる。
日本生活協同組合連合会(コープ)は全国の一般消費者約1000人を対象に行った「これからの電力のあり方についての消費者意識調査」の結果を公開した。その中で「電源構成は選択のために必要な情報かどうか」を尋ねたところ「必要な情報である」との回答した人が82.9%を占めた(図1)。さらに電力会社に対して「電源構成の情報公開を義務付けたほうが良いか」という問いに対しては、88.5%と9割近くの人が「義務づけたほうが良い」と答えている(図2)。
太陽光発電やバイオマス発電など再生可能エネルギーの利用が注目を集め、その一方で原子力発電所の再稼働問題がマスコミなどに取り上げられる例が増えている。こうした状況の中で一般消費者は、安全性や環境への影響、さらにコストなどそれぞれの電源の特徴に興味を持ち、その電力がどの電源をもとに作られているのかを知りたい人が増加していると見られる。電力供給の小売全面自由化に対しては、電源構成も選択のポイントの1つになるかもしれない。
この調査では「原子力発電や再生可能エネルギーの使用比率が将来どうあるべきか」という点についても尋ねている。その結果は原子力については「0%にする」と「5%程度」の合計が48.2%、「25%以上」は9.4%となった。また、再生可能エネルギー比率は「30%以上」が36.6%、「20%程度」が26.6%、「15%程度」は14.4%となっている。
原子力発電については依然厳しい目を向けており、再生可能エネルギーには拡大への期待をかけている結果となった。経済産業省は2015年4月28日に2030年の電源構成案を公表しているが、その数値は原子力は22〜20%程度、再生可能エネルギーは22〜24%程度となっており、今回のアンケート内容とは開きがある結果となっている(関連記事)。
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