7つの離島電力を支える石垣島、石油火力発電を増強し安定供給へ:電力供給サービス
沖縄県の石垣島に設置されている発電設備は、イリオモテヤマネコで有名な西表島をはじめとする7つの周辺離島の生活を支える電力源だ。沖縄電力はこの石垣島系統の供給力増強を目指し、2014年1月から増設工事を進めていた石垣第二発電所6号機の営業運転を開始した。
沖縄電力は石垣島系統の供給力確保に向け、2014年1月から増設工事を進めていた石垣第二発電所6号機の営業運転をこのほど開始した(図1)。同6号機はドイツのDiesel&Turbo社製の単動4サイクル無気噴油式の過給機付ディーゼル機関が動力源で、発電機には明電舎製のTIC-AFを設置。出力は1万8000kW(キロワット)で、燃料にはC重油を用いる。
石垣島系統は沖縄本島の南西約450kmに位置する石垣島に発電所を設置し、その周辺離島(竹富島、小浜島、黒島、西表島、新城島、鳩間島、由布島)に電力を供給している(図2)。カバーするエリアの総面積は約543.86平方kmで、2015年3月末時点で約2万5000世帯、総人口約5万2000人が利用する電力を支えている。2014年度の最大電力(送電端)は6万1884kW。
沖縄本島を除く11の離島系統では、主に重油を燃料とするディーゼル機関により電力を供給している。石垣島系統では今後、同6号機を含め合計8機の発電設備(出力8万6000kW)でその供給を担うことになる。
日本国内では脱石油化と燃料の多様化が進められている。一方、沖縄県では地理条件や電力需要規模の制約などから水力・原子力の開発が困難であり、電力のエネルギー源は石油や石炭などの化石燃料に頼る傾向がある。沖縄電力の主要電源設備は石油火力発電と石炭火力発電所で、石垣発電所は石油火力発電所の1つだ。
しかし沖縄電力では石油や石炭に比べてCO2の排出量の少ないLNG(液化天然ガス)を燃料とした吉の浦火力発電所の建設を推進しており、主要電源設備の燃料を3種類に多様化することでエネルギーセキュリティの向上にも取り組んでいる。
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