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太陽光の発電コストを2030年に7円へ、5年間の技術開発プロジェクトが始動蓄電・発電機器(3/3 ページ)

日本の再生可能エネルギーを牽引する太陽光発電のコスト低減に向けた新プロジェクトが始まった。NEDOが2015〜2019年度の5年間をかけて、メーカーや大学などと共同で太陽電池の性能と信頼性の向上に取り組む。2030年までに火力発電のコストを下回る1kWhあたり7円が最終目標だ。

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2030年に再エネの比率30%も可能に

 政府は2030年のエネルギーミックス(電源構成)を検討するために、火力や原子力、各種の再生可能エネルギーの発電コストを試算した。2030年には太陽光(メガソーラー)の発電コストが12.7円まで下がり、国の政策に必要な経費を除くと11円になる予測である(図7)。


図7 2030年の電源別の発電コスト見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁

 これでも火力や原子力と同等の水準だが、もしNEDOの目標値である7円まで下がれば、太陽光発電が最も安価な電源に変わる。現在のところ2030年までに再生可能エネルギーの比率を22〜24%に高めることが政府の方針だが、本来は30%程度まで引き上げることが十分に可能だ。太陽光を筆頭に発電コストの高さが比率を抑える理由の1つに挙げられている。

 太陽光発電のコストを7円まで低減することができれば、将来のエネルギーミックスも変わる。再生可能エネルギーの中で環境負荷が最も小さい太陽光の比率を高くして、一方で放射能汚染のリスクがある原子力やCO2排出量の多い火力の比率を小さくすることができる。

 NEDOは太陽電池の高性能・高信頼化プロジェクトのほかに、太陽光発電に関する3つのプロジェクトを並行して進めていく(図8)。2014年度に着手した太陽光発電システムの効率向上・維持管理とリサイクル、さらに2013年度には太陽光発電システムの設置が難しい場所を対象にした多用途化の実証プロジェクトを開始した。


図8 太陽光発電に関するNEDOの技術開発プロジェクト(画像をクリックすると拡大)。出典:NEDO

 発電コストの低減に加えて、長期にわたる発電量を維持するための信頼性の向上、環境負荷を抑えるためのリサイクル、設置場所の開拓などを通じて、太陽光発電を拡大できる余地は多く残っている。国を挙げて取り組んでいくNEDOの技術開発プロジェクトに対する期待は大きい。

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