最も安い料金プランを自動で選べる、電力消費を予測するHEMS住宅向けサービス:電力供給サービス
約1万8000人が住む千葉県佐倉市のニュータウン「ユーカリが丘」で、HEMS付住宅向けの「電力料金最適化サービス」がスタートした。短期間の電力使用データから年間の電力消費量を予測して、最適な料金プランが選択できる。2016年4月からの電力自由化を見据えて、国際航業と不動産ディベロッパーの山万が共同事業として提供していく。
日本アジアグループ傘下の国際航業は、不動産ディベロッパーの山万が開発を手掛ける「ユーカリが丘」(千葉県佐倉市)のHEMS付住宅向けに、2015年6月から「電気料金最適化サービス」の提供を開始した。2016年4月からスタートする電力の小売全面自由化を見据えたもので、国際航業と山万が共同事業として展開していく。
国際航業の同サービスは、アンケート形式によるモニタリングではなく、消費電力量の実測値データを活用して電気料金プランの最適化を目指すもの。短期間の電力消費データをもとに、各家庭の年間の電力消費モデルを推定し、契約約可能な電気料金プランの中から最も安価なプランを判定するという仕組みだ。さらに太陽光や蓄電池など、発電および蓄電設備を設置する場合の効果も併せて推定することも可能だ(図1)。
電気料金最適化サービスは2015年6月からハウスメーカーやディベロッパーなどを対象に、B2Bサービスのかたちで提供を進める。今後は提供領域を拡大して、自治体や新たに電力小売事業に参入する企業にも提供していく予定だ。なお同サービスは2015年3月に「電気料金プラン選定システム」特許を取得している。
山万は今回、2011年に販売を開始したHEMS付住宅の購入者に対するアフターサービスの一環として、各家庭のHEMSから消費電力量データを取得し、最も経済的な電気料金プランの診断結果を提供していく。両社は今後2カ月間にわたり共同事業としてサービスの提供を進め、その後ユーカリが丘内のHEMS付住宅以外への展開も検討する予定としている。
2016年4月からスタートする電力自由化によって、新たに開放される市場の規模は約7.5兆円と見られている。これに伴い既に自由化されている企業向けの小売事業や再生可能エネルギーを含む発電事業も活発になり、全体で20兆円を超える電力市場の顧客獲得競争が2016年を境に激しさを増すといわれている。
こうした状況の中でクリーンエネルギー事業に取り組む国際航業は、発電事業だけでなく独自の技術力を用いたエネルギーの見える化効果による省エネなど、電気料金の削減を消費者のライフスタイルの改革につなげ、人と地球環境に優しいまちづくりを目指すとしている。
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