世界の発電量の22.8%が再生可能エネルギーに、風力・太陽光・水力が伸びる:再生可能エネルギーのグローバルトレンド(1)
2014年も世界各国で再生可能エネルギーの導入が活発に進んだ。火力や原子力を含む全世界の発電量に占める比率は22.8%へ上昇した。発電設備の容量は1年間に17%増えて、特に風力・太陽光・水力の伸びが大きい。国別では中国がトップを走り、日本は水力を除くと第6位に入る。
世界各国の政府などと連携して再生可能エネルギーの導入を推進している非営利機関のREN21(Renewable Energy policy Network for the 21st century、本部パリ)が2014年末時点の最新データをまとめた。再生可能エネルギーの発電量は全世界で増加して、火力や原子力を合わせた全体のうち22.8%を占めるまでに成長している(図1)。シェアは1年前と比べて0.7ポイント上昇した。
図1 電源別の全世界の発電比率(2014年末時点。発電設備の容量をもとに推定)。電源は左上から右下へ順に、火力・原子力(Fossil fuels and nuclear)、水力(Hydropower)、風力(Wind)、バイオマス(Bio-power)、太陽光(Solar PV)、地熱・太陽熱・海洋(Geothermal, CSP and Ocean)。出典:REN21
再生可能エネルギーの中では水力が16.6%と多く、この中には旧来型の大規模な水力発電所も含んでいる。次いで風力、バイオマス、太陽光の順になる。発電設備の容量(最大出力)を合計すると、2014年には1億3400万kW(キロワット)も増えている。最も大きく伸びたのは風力の5100万kWで、太陽光は3900万kW、水力は3700万kWの増加だった。バイオマスと地熱はさほど増えていない(図2)。
図2 再生可能エネルギーによる発電設備の容量の推移。単位:ギガワット(100万キロワット)。上から順に、合計(水力を含まない)、同(水力を含む)、水力、バイオマス、太陽光、太陽熱、風力、地熱。出典:REN21
2014年に稼働した発電設備を加えて、全世界の再生可能エネルギーの導入量は17億1200万kWに達した(図3)。火力や原子力で最も大きい発電設備は1基あたり100万kW程度になる。容量で比較すると火力・原子力の1700基分に相当する発電設備が再生可能エネルギーで稼働している。
図3 再生可能エネルギーによる発電設備の容量(2014年末時点。画像をクリックすると拡大)。単位:ギガワット(100万キロワット)。種別は上から順に、バイオマス、地熱、水力、海洋、太陽光、太陽熱、風力。合計値は順に、水力を含む、水力を含まない、人口1人あたり(単位:ワット、水力を含まない)。出典:REN21
国別では中国が圧倒的に多くて、世界全体の2割以上を占めている。特に水力と風力の導入量が大きい。第2位の米国も水力と風力が多いが、そのほかの太陽光やバイオマスも伸びている。対照的なのは第3位のドイツだ。水力は少なくて、代わりに太陽光が風力とともに再生可能エネルギーの主力を担っている(図4)。環境を重視した政策によるところが大きい。
図4 再生可能エネルギーによる発電設備の容量(地域別と上位7カ国、水力を含まない、2014年末時点)。単位:ギガワット(100万キロワット)。種別は棒グラフの下から順に、風力、太陽光、バイオマス、地熱、太陽熱・海洋。出典:REN21
そうした中で日本も健闘している。水力を除いた新しい再生可能エネルギーの導入量ではインドと並んで世界で第6位に入る。特に太陽光はドイツと中国に次ぐ第3位、バイオマスも発電量では第5位の規模に拡大した(図5)。2012年に開始した固定価格買取制度の効果が表れている。
図5 再生可能エネルギーの導入量トップ5カ国(2014年末時点)。項目は上から順に、合計容量(水力を含む)、同(水力を含まない)、人口1人あたりの容量(水力を含まない)、バイオマス(発電量)、地熱(容量)、水力(容量)、同(発電量)、太陽熱(容量)、太陽光(容量)、同(人口1人あたりの容量)、風力(容量)、同(人口1人あたりの容量)。出典:REN21
REN21がまとめた世界各国の最新データをもとに、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類の再生可能エネルギーについて、個別の導入状況を5日間にわたりレポートする。
第2回:太陽光発電が2014年に28%も拡大、中国と日本の伸びが目立つ
第3回:風力発電は全世界で太陽光発電の2倍、途上国にも急速に広がる
第4回:水力発電が再生可能エネルギーの6割を占める、過去5年間の成長率は3%台
第5回:地熱発電が途上国に広がる、日本はケニアに抜かれて世界で9位
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