太陽光発電が2014年に28%も拡大、中国と日本の伸びが目立つ:再生可能エネルギーのグローバルトレンド(2)
世界各国で再生可能エネルギーの導入が活発に進む中でも、特に成長率が大きいのは太陽光発電だ。2014年に全世界で3900万kWの発電設備が運転を開始して、総容量は1年前と比べて28%も増えた。国別ではドイツがトップだが、前年から大幅に伸ばしたのは2位の中国と3位の日本である。
第1回:世界の発電量の22.8%が再生可能エネルギーに、風力・太陽光・水力が伸びる
国際機関のREN21(Renewable Energy policy Network for the 21st century)がまとめた全世界の再生可能エネルギーの導入量を種類別に見ると、太陽光発電の伸び率が最も大きい。2014年末の時点で総容量は1億7700万kW(キロワット)に達して、1年間で3900万kWも増えている(図1)。特に2011年から増加ペースが加速した。
導入量の拡大に合わせて太陽光パネルの価格も急速に下がってきた。全世界の市場で主流になっている多結晶シリコンタイプのモジュールの平均価格は2014年に14%も低下した。発電能力1kWあたりの平均価格は600米ドル(7万2000円、1米ドル=120円で換算)になっている。
市場の拡大をけん引したのは中国と日本だ。2014年だけで両国ともに1000万kW前後の太陽光発電設備が新たに運転を開始した(図2)。累計の容量では2000年から固定価格買取制度を実施したドイツが第1位で、3800万kWに達している。ただし2014年の導入量は中国や日本の5分の1程度にとどまり、今後も大幅に増える見込みはない。
第2位の中国は累計で2800万kWに、第3位の日本も2300万kWまで拡大して、ドイツに迫ってきた。このペースで増えると2015年には中国がドイツを抜いて第1位になる可能性がある。第5位の米国も2014年に620万kWの発電設備が稼働して、累計では1800万kWになった。南西部に広がる広大な砂漠地帯で大規模な建設プロジェクトが続々と始まっていて、2015年以降も導入量は伸びていく。
米国では太陽エネルギーを熱として利用する発電設備も増加傾向にある。集光型太陽熱発電(CSP:Concentrating Solar thermal Power)と呼ぶ方式で、太陽光を鏡やレンズで集めて高温の蒸気を発生させて発電する。2014年に米国で運転を開始した太陽熱発電所では、カリフォルニア州の砂漠に造られた「イバンパ(Ivanpah)太陽発電所」が39万kWの発電規模で最も大きい(図3)。
ただし全世界を見渡すと、太陽熱発電の導入量は今のところ小さい。2014年までの累計で440万kWにとどまり、ほとんどを米国とスペインが占める(図4)。発電所を建設できる場所が限られるほか、太陽光パネルを利用する発電方法と比べてコストが割高になる問題がある。
それでもインドや南アフリカでは大規模な太陽熱発電所が増えていて、2015年以降も導入量の拡大が続く見通しだ。世界各国で地域の特性を生かした再生可能エネルギーの発電設備が広がっていけば、地球温暖化を抑制する効果も期待できる。
関連記事
- 再生可能エネルギーが20%を突破、日本は水力と太陽光で第5位
先進国を中心に再生可能エネルギーの導入が進んで、全世界の発電量の20%以上に拡大した。そのうち約8割は水力発電だが、風力発電と太陽光発電の伸びも著しい。国別の導入量では、水力と風力で中国がトップ、太陽光ではドイツが最大だ。日本は水力と太陽光で第5位に入っている。 - 再生可能エネルギーが全世界で22%に、太陽光と風力が伸びる
国際的な再生可能エネルギーの推進団体であるREN21が世界各国の最新の導入状況をまとめた。全世界で稼働中の発電設備のうち再生可能エネルギーの比率が2013年末で22.1%に達した。1年前と比べて0.4ポイントの増加で、特に太陽光と風力の伸びが大きい。日本は太陽光で第4位に入った。 - 太陽熱で世界最大392MWの発電所、カリフォルニア州の砂漠で稼働
日本では想像もできない巨大な太陽熱発電所が米国カリフォルニア州で運転を開始した。砂漠の中の広大な敷地に35万枚の反射鏡を並べて、集光した太陽熱で蒸気を発生させて発電する。3基の発電設備で392MW(メガワット)の電力を作り出し、米国の家庭で14万世帯分を供給することができる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.