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水素で広がるスマートシティ、2020年のオリンピックに電力・熱・燃料を供給エネルギー列島2015年版(13)東京(2/3 ページ)

東京オリンピック・パラリンピックは日本が水素社会へ向かう大きなステップになる。首都圏を中心に水素ステーションが増えて、燃料電池車や燃料電池バスが都心を走り回る。競技場や選手村には燃料電池で電力と熱を供給する予定だ。大都市ならではの地中熱を取り入れたビルの建設も進む。

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2016年に開業する新市場で太陽光発電

 オリンピック・パラリンピックの関連施設が集まる東京湾岸の臨海地域では、新しいビルの建設が続々と始まっている。選手村に近い「豊洲(とよす)埠頭地区」には、日本で最大の生鮮食品の取引量を誇る「築地(つきじ)市場」の移転計画が進行中だ(図5)。土壌の汚染問題があって工事が遅れていたが、ようやく対策が完了して2016年11月にオープンする見通しになった。


図5 「豊洲埠頭地区」の全景と周辺地域。出典:東京ガス

 この「豊洲新市場」ではエネルギーの利用面でも先進的な対策をとる。主要な施設の屋上に太陽光パネルを設置して、合計2MW(メガワット)以上の電力を自給自足できるようにする予定だ(図6)。ほかにも生鮮食品を輸送するための冷凍・冷蔵車に電力を供給する充電スタンドを市場の中に整備する。


図6 「豊洲新市場」の完成イメージ(上)、施設の配置と環境対策(下)。出典:東京都政策企画局、東京都中央卸売市場

 新市場を中心に地域全体のエネルギー供給ネットワークの構築も進んできた。東京ガスが新市場に隣接する区域に「スマートエネルギーセンター」を建設して電力と熱を供給する計画だ(図7)。発電能力が7MWのコージェネレーションシステム(CGS)を中核に、都市ガスの圧力差を利用した発電システムも導入する。新市場よりも早く2016年4月に運用を開始する予定で工事が始まっている。


図7 「スマートエネルギーセンター」の完成イメージ(上)、エネルギー供給の仕組み(下)。出典:東京ガス

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