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「大豆と電力」を生むメガソーラー、シカの放牧地が営農型発電設備に:自然エネルギー
群馬県沼田市に「沼田市利根町太陽光発電所」が完成した。従来シカの放牧に利用していた非耕作地に建設した発電所で、発電と農業を両立させるソーラーシェアリングを採用。発電を行いながらパネルの下で大豆を育てる。
日本アジアグループ傘下のJAG国際エナジーが施工を行ったメガソーラー「沼田市利根町太陽光発電所」(群馬県沼田市)が、このほど完成した。太陽光発電所の土地で発電と同時に農業も行うソーラーシェアリングを採用しているのが特徴で、2015年7月17日より発電を開始している。
同発電所は沼田市の建設会社である椎坂建設が賃借した土地を利用。屋根型の太陽光発電設備で、約3万9745m平方メートルの土地に約1万1040枚の太陽光パネルを設置した(図1)。総出力は約1.1MW(メガワット)で、年間の発電量は一般家庭約385世帯分に相当する約138万6000kWh(キロワット時)を見込んでいる。沼田市初のメガソーラーだ。
沼田市利根町太陽光発電所が採用したソーラーシェアリングとは、農地などに支柱を立てて太陽光発電設備を設置し、その下で農業を行う仕組みのこと。太陽光を発電と農業で分け合い、農地の効率的な利用で農家の経営に貢献するとともに、再生可能エネルギー普及にもつながることから今後の導入促進が期待されている。農林水産省ではこの発電設備を「営農型発電設備」と呼んでおり、全国各地に広がりつつある。
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