通信事業者が「新電力」に、電力小売に既存顧客の活用を狙う:電力供給サービス
2016年4月からの電力の小売全面自由化に向け急増している新電力。このほど関西電力グループで電気通信事業を手掛けるケイ・オプティコムも、新電力として電力小売市場に参入すると発表した。新たに電力の販売を行う上で、既存の通信事業の顧客情報を活用できるメリットは大きい。2015年9月よりサービスの詳細を公開していく予定だ。
電気通信事業者のケイ・オプティコムは、このほど経済産業省 資源エネルギー庁へ小売電気事業者の登録申請を行った。2016年4月からの電力の小売全面自由化をにらみ電力小売事業に参入する。
ケイ・オプティコムは、これまで関西一円に張りめぐらせた独自の光ファイバーネットワークを活用した「eo光ネット」「eo光電話」「eo光テレビ」に加えて、携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」などのサービスを提供してきた。今後はこうした通信事業に加え新たに電力小売事業にも進出する。
サービス名称は主力サービスである「eo光」サービスと同様の「eo」ブランドを利用し、「eo電気(いおでんき)」とする(図1)。料金やプランなどサービス内容の詳細や具体的な事業計画については、今後検討していく計画だ。2015年9月には「eo」電気の特設サイトを オープンし、サービスの詳しく紹介していくという。
関西電力グループのケイ・オプティコムは、光ファイバー賃貸事業会社の関西通信設備サービスを母体とし、2000年6月に現社名に変更。同年11月にはCATV事業を手掛ける関西ケーブルサービスと合併。それによりPHS事業会社であったアステル関西の営業を譲り受け、関西に広がる光ファイバー網を活用した個人向けの通信サービスを中心に事業を展開してきた。
さらに2003年12月には、ユーザーニーズの多様化・高度化、激化する市場競争に対応するため、第3セクター方式による通信専門会社の大阪メディアポートと合併し、法人向けを主体としたサービスを提供している。
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