ニュース
Google Earthから屋根上の発電量を予測、米国2地域で試験サービス開始:自然エネルギー
再生可能エネルギーの導入を積極的に推進する米国のグーグルが太陽光の発電量を計算する情報サービスの試験を開始した。衛星写真を使って上空から見える情報を提供する「Google Earth」を応用したもので、建物の屋根の面積と向き、地域の気象情報をもとに年間の発電量を計算する。
太陽光の発電量を計算する新しい情報サービスは現在のところ「Project Sunroof」と名付けられている。8月17日から米国東海岸のボストン市と西海岸のサンフランシスコ市の一部の地域を対象に試験サービスを開始した。
使い方は至って簡単だ。通常の位置情報サービスと同様に、Project Sunroofの画面上で住所を入力すると、年間の日照時間と屋根の上に設置できる太陽光パネルの面積を計算して表示する(図1)。さらに現在の電気料金を入力すると、太陽光で発電した電力を使うことによって20年間に節約できる金額もわかる。
日本でも地図から屋根上の発電量を計算するサービスはあるが、Project Sunroofの機能が優れている点は3次元のデータから日射量を緻密に算出できることだ。屋根の向きのほか、近隣の木や建物による影まで考慮して計算する。グーグルが衛星写真を使って世界各国で提供している3次元の地球探索サービス「Google Earth」と同様に、上空から撮影した高精細な画像情報を利用しているためだ。
グーグルは今後もProject Sunroofの機能の改良と対象地域の拡大を続けていく。地域ごとに太陽光パネルの販売会社の情報も見ることができるようになっていて、グーグルの新しい収益源に発展する可能性もある。
関連記事
- グーグルが新本社ビルに再生可能エネルギー、州内の風力発電所から調達
米国のIT企業は再生可能エネルギーの導入に熱心で、グーグルも代表的な企業の1つである。先ごろ近未来を連想させるユニークな新本社ビルの建設計画を発表して話題を呼んだが、新しいオフィスで使用する電力もカリフォルニア州内の風力発電所から調達する計画だ。 - グーグルやダッソーがスマートシティーに参入、街を丸ごと仮想化する時代に
“街丸ごと”を仮想空間上で再現し、コンピュータの力で最適な分析を行い、制御を行う「スマートシティー」への取り組みが本格化しつつある。米グーグルが新たに新会社設立を発表した他、フランスのダッソーシステムズもシンガポールで共同開発を始めることを発表した。 - 廃止する石炭火力発電所に新データセンター、米グーグルが電力インフラを活用
グーグルは米国のアラバマ州で10月に運転を終了する石炭火力発電所の跡地に、14カ所目のデータセンターを建設する。発電所から地域に広がる送配電ネットワークを利用して、再生可能エネルギーの電力を最大限に導入する方針だ。2016年の初めに着工して2年程度で完成する見通しである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.