水素社会の実現に向けて、燃料電池自動車(FCV)の普及に注目が集まっているが、2015年が8月6日(現地時間)、韓国ヒュンダイモーター(現代自動車、以下ヒュンダイ)が、FCVの24時間走行距離で世界記録を達成したと発表した。
同記録はヒュンダイの「ix35 Fuel Cell」で達成したもの。24時間でドイツの公道を2383キロメートル(km)走行した。走行は市街地や高速道路を含むとし、平均時速は約100kmとなった。水素の補給は、ハーフェンシティとハンブルクにあるバッテンフォール(Vattenfall)の水素ステーションと、ベルリンのシェルの水素ステーションを利用。水素の補給はそれぞれ3分程度で完了したとしている。
同社では「FCVと水素燃料補給ステーションの現状での組み合わせが機能するか見るつもりだったが、良い結果をことができた」としている。
FCVは2014年12月に一般発売されたトヨタ自動車の「MIRAI」が世界初の量産型FCVとされている(関連記事)。しかし、ヒュンダイは2013年12月に生産を開始したヒュンダイのFCV「Tucson iX」が世界初の量産型FCVだと主張しており、FCV市場での主導権争いに注目が集まっている。
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