ダーウィンも来た世界遺産、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換え環境保護へ:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
博物学者のチャールズ・ダーウィンが「進化論」の着想を得たとして知られ、世界遺産にも指定されているガラパゴス諸島。エクアドル共和国は諸島の自然環境の保護に向け、2020年までに諸島内から化石燃料を排除する目標を掲げており、再生可能エネルギーの導入を進めている。
ハイブリッド蓄電システムで異なる出力変動に対応
計画ではガラパゴス諸島の中心区域に位置するバルトラ島バルトラ空港に、出力67kW(キロワット)の太陽光発電システムと、総容量4250kWh(キロワット時)の出力安定化システムを設置する。なお、このバルトラ空港は2013年から化石燃料を一切使用せず、太陽光と風力による電力のみで稼働している“グリーン空港”(図2)。ガラパゴス諸島における化石燃料の削減プログラムを象徴するような空港だ。
バルトラ島は総面積が27平方キロメートルの非常に小さな島で、島内の主要施設はバルトラ空港と港湾施設のみ。国立公園区域からも除外されており、ガラパゴス諸島の空の玄関口として機能している島だ。今回設置する太陽光発電システムで発電した電力は、バルトラ島の隣に位置し、ガラパゴス諸島内で最大の人口を抱えるサンタクルス島へ供給する(図3)。
バルトラ島からサンタクルス島へは、既設の風力発電設備で発電した電力も送電されている。しかしガラパゴス諸島のような独立した電力系統に対し、出力の不安定な再生可能エネルギーの導入量を増やした場合、電力網が不安定になる可能性が高い。そこで今回、太陽光発電システムとともに設置する出力安定化システムを活用する(図4)。
この出力安定化システムは日立化成が開発する。基幹電源を電力貯蔵用の鉛蓄電池「LL1500-W」(容量4032kWh)とし、さらにリチウムイオン電池「CH75-6」(268kWh)を組み合わせたハイブリッド蓄電システムなのが特徴だ。低コストで電力を貯蔵できる鉛蓄電池が主に島内の電力需要変動、太陽の高度変化などによる数十分単位の緩やかな発電電力変動を吸収する。そしてエネルギー密度が高く、素早い充放電を得意とするリチウムイオン電池が、気象の急変などによる数分単位の急激な発電電力変動を吸収する仕組みだ(図4)。
ガラパゴス諸島だけでなく、日本国内でも離島の独立した電力系統への再生可能エネルギーの導入を目的とした蓄電システムの活用が進んでいる。今回バルトラと島に設置するハイブリッド蓄電システムは、日立製作所と新神戸電機が伊豆大島での系統電力接続制御実証に取り組んでいるものと同じである。(関連記事)。
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