太陽光や風力の接続申し込みを1年間保留、九州の離島に大きな制約:電力供給サービス
九州電力は長崎県と鹿児島県の離島6島を対象に、太陽光や風力による発電設備の接続申し込みを約1年間にわたって保留することを決めた。島内の主力電源である内燃力発電所の最低出力を確保するためで、離島における再生可能エネルギーの普及に大きなブレーキがかかることは確実だ。
対象になる6島は長崎県の壱岐と対馬のほか、鹿児島県の種子島、徳之島、沖永良部島、与論島である。再生可能エネルギーによる発電設備を送配電網に接続するための事前相談・事前検討・接続契約申し込みの回答が、7月26日から約1年間にわたって保留される。住宅用の太陽光発電設備も含む厳しい措置になる。
6島のうち、すでに種子島では送配電網に接続できる連系可能量を上回る規模の発電設備が稼働している。さらに今後の予定量を加えると連系可能量を3700kWも超過してしまう(図1)。九州電力は種子島をはじめ連系可能量が限界に近づいている6つの島で、既存の発電設備の出力状況と島内の需要変動を検証しながら、今後1年程度をかけて連系可能量の引き上げを検討することにした。
種子島を例にとると、主力の電源として島内の2カ所に内燃力発電所が稼働中で、合計出力は最大で4万500kWになる。このうち最低でも9000kWの出力を維持する必要がある。一方で太陽光の発電量が最大になる昼間の電力需要は、最も少ない場合には1万6000kW程度しかない(図2)。
需要と供給のバランスをとるためには、太陽光や風力の出力を7000kW程度に抑える必要があるが、2014年5月末の時点で9000kWを超える発電設備が送配電網に接続されている。実際にはすべての設備が同時に最大の出力を発揮することはなく、九州電力の想定では8500kW程度までならば接続して問題なく運用できる。
種子島の送配電網には国の実証事業で出力3000kWの蓄電池が設置されていて、天候による太陽光や風力の出力変動を吸収することは可能だ。ただし定常的に余剰電力を調整するには容量が足りない。今のところ九州電力には蓄電池を増強する計画はなく、発電事業者に依存しているのが現状である。
離島では電力需要が小さいために、石油を燃料にしてディーゼルエンジンで発電する内燃力を採用するのが一般的だ。発電コストが高く、CO2のほかに有害物質の排出量も多いことから、自然環境を保護するうえでも再生可能エネルギーの導入拡大が求められている。
九州電力が1年間も接続申し込みを保留することは、企業や家庭が再生可能エネルギーを導入する機運を大きく損ねかねない。こうした状態になるまで対策を実施しなかった国の責任も問われる。国民が賛同しない原子力発電所の安全対策に多大な時間とコストをかけるよりも、再生可能エネルギーの導入が必要な地域の送配電網の増強を優先すべきではないか。
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エネルギー列島2013年版(46)鹿児島
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