猛暑の8月も電力の需要は前年比0.2%減、家庭用は4カ月ぶりに増加:電力供給サービス
今年の夏は8月の上旬に猛烈な暑さが続き、全国各地で最高気温が35度を超える猛暑日を記録した。電力の需要は家庭向けの電灯が4カ月ぶりに前年を3.5%も上回ったが、企業向けの業務用と産業用は前年を下回り、全体では0.2%の減少になっている。暑い夏でも電力の需要は戻らない。
電力会社10社が2015年8月に販売した電力量は746億kWh(キロワット時)で、前年からわずか0.2%ながら減少した(図1)。それでも7月の659億kWhと比べると13%も増えて、8月の暑さを示す結果になっている。
用途別に見ると、家庭を中心とする「電灯」の販売量が前年比で3.5%も伸びた。電気事業連合会の分析では8月上旬の気温が高めに推移して、冷房の需要が増加したことが大きな要因だ。前年の8月には電灯の販売量が6.5%も減少していて、その反動もある(図2)。
実際に今年の8月は各地で猛暑が続いた。特に上旬は全国の気象観測地点928カ所のうち600カ所以上で最高気温が30度を超える真夏日になり、35度を超える猛暑日も100カ所を上回っている。東京では7月31日〜8月7日の8日連続で猛暑日になった。前年の8月は1カ月間で猛暑日が4日しかなく、いかに今年の8月が暑かったかがわかる。
とはいえ企業向けの電力需要は減り続けている。オフィスで利用する「業務用」が2.9%減、工場向けの「産業用」が1.9%減で、いずれも2014年5月から16カ月連続で前年を下回った。新電力による販売量の拡大も影響していて、今後も減少傾向が続くことは確実だ。
電力の需給状況は各地域ともに不安はなかった。東京電力の管内では猛暑日の8月7日(金)に最大の需要を記録したが、需給率は92%に収まっている(図3)。8月に需給率が90%以上になったのは4日間だけである。そのほかの地域でも需給率が95%を超えるような状況になることは1度もなかった。
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