臨海部の工場跡地に出力4.0MWの風力発電、2500世帯分の電力に:自然エネルギー
福岡県北九州市の臨海部に位置する西部ガスの工場跡地に、出力4.0MWの風力発電設備の設置が決まった。西部ガスグループのエネ・シードと日立グループの日立ウィンドパワーの共同出資で設立した新事業者が建設と運営を行い、年間発電量は一般家庭2500戸分に相当する800万kWhを見込む。
西部ガスグループは、西部ガス北九州工場跡地(北九州市若松区響町)の未利用地部分に、発電規模4.0MW(メガワット)の「エネ・シード北九州風力発電所」を建設し、風力発電を事業化する。
風力発電事業は、2015年9月29日に設立した事業会社のエネ・シードウィンドが担当する。エネ・シードウィンドは、同グループのエネ・シードと日立グループの風力発電事業者である日立ウィンドパワーが共同出資した。発電所を建設するとともに運営を行う。エネ・シードウィンドへの出資比率はエネ・シードが66%、日立ウィンドパワーが34%だ。
発電所の設置場所は、2014年11月の「ひびきLNG基地」(同区向洋町)の稼働に伴い廃止した西部ガスの北九州工場の跡地。敷地面積は2万平方メートルだ。ここに12億円を投資し、日立製作所の2.0MWの風車「HTW2.0−86」を2基設置する(図1)。発電所の建設は2016年7月に着工し、2018年3月に運転を開始する計画だ。年間発電量は一般家庭2500戸分に相当する800万kWh(キロワット時)を見込んでいる。
西部ガスは「日立グループの持つ高い技術力・豊富な実績・広域メンテナンス体制ならびに風力発電事業者としてのノウハウと、西部ガスグループの九州における事業基盤を生かすことで、風力発電事業の安定化につながる」としている。
「総合エネルギーサービス企業」を目指す西部ガスは、2012年4月に同社100%出資の再生可能エネルギー事業を担うエネ・シードを設立し、既に太陽光発電事業を展開している。今回発表したエネ・シード北九州風力発電所の建設予定地周辺には、同社が手掛ける太陽光発電設備が点在している(図2)。
今回の風力発電の事業化は、同社グループの再生可能エネルギー利用分野の多様化を図るもの。同グループでは今後も天然ガスの普及拡大を図るとともに、再生可能エネルギーの普及にも努め、エネルギーセキュリティ向上(分散化・多様化)と環境負荷低減への貢献していく方針だ。
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