電力比較サイトの本命か、「電気を選ぶ」を常識にする英国発サービスが始動:電力供給サービス(3/3 ページ)
小売全面自由化に向け各社から電力料金プランの発表が始まっているが、同時にこうしたプランの比較サービスの展開も目立ってきた。そのうちの1社であるエネチェンジが戦略方針を発表。自由化で先行する英国で得たノウハウと技術を強みに、2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向けサービスを本格展開する。
英国では44%の世帯がオンラインサービスを利用
電力自由化後に電力会社をスイッチングする方法は、電話、店舗や電力会社による訪問営業など、複数のパターンが考えられる。自由化で先行する英国では、どういった方法でスイッチングする場合が多いのか、そしてそもそも自由化によってどれくらいの人がスイッチングを行っているのか。
城口氏によれば、英国で電力自由化が始まった2002年以降、電力会社のスイッチングを行った世帯は全体の60%になる。2014年は全体の14%がスイッチングしており、2002年以降、毎年電力会社の見直しを行う世帯が年平均10%の割合で存在するという。
この理由について同氏は「電気料金の支払いは、年間で平均10万円程度の買い物をするのと同じであり、無視できない額。そのため英国では定期的に契約する電力会社や、電気料金プランを見直すのは常識になっている。電力自由化を一言で表すと、電気料金が安くなることではなく、電力会社を選べるようになること」と語る。
さらにスイッチングの方法については、英国の場合2014年に電力会社を切り替えた世帯ののうち、44%の人がオンラインの電力料金比較サイトを利用しているという(図3)。図3に示すように、他の方法と比較して突出した数字となっている。
エネチェンジはこうした電力自由化による「定期的な電力会社のスイッチング」と、スイッチング手段としての「電力料金比較サイト」という2つの需要が日本でも高まると見込んで開設したサービスだ。日本ではどれくらいのペースで電力会社の切り替えが進むかはまだ未知数だが、年間22〜77万件の切り替え顧客の獲得を目指す。これはWebサービスを利用したスイッチングシェアの50%を想定。サービスの本格的な開始までに20〜30社の電力会社の電力料金プランを扱いたいとしている。
広報はデーブ・スぺクター氏とスぺクター京子氏に
エネチェンジは今後顧客獲得に向け、今回発表したエネチェンジ優先予約を開始してユーザーへのアピールを進めるとともに、ショッピングサイトなどへのホワイトラベルの提供、オフラインコールセンターの設置、広告宣伝などの施策を進めていく。なお、エネチェンジ優先予約は先着1万名にAmazonギフト券1000円分をプレゼントするキャンペーンも開始する。
さらに会見では、エネチェンジの広報アドバイザーに放送作家でタレントのデーブ・スぺクター氏とスぺクター京子氏の就任が発表された。「海外の常識である電力自由化、電力会社を選ぶということをお茶の間に分かりやすく届ける」という。電力自由化を開設したオリジナル動画コンテンツ「エネチェンジTV」なども展開していく。
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