京都最大級のイベント会場に蓄電システム、複数電源の同時利用を可能に:蓄電・発電機器
京都最大級のイベント会場である「みやこめっせ」には出力30kWの太陽光発電システムが導入されている。今回、同施設に新たにアイケイエスが開発したSiCパワーデバイスを採用する蓄電システム「I_DENCON(アイデンコン)」の導入がきまった。太陽光や電気自動車など複数の電源を同時利用できるのが特徴だ。
京都市は「岡崎地域公共施設間エネルギーネットワーク形成実証事業」の一環として、京都市勧業館「みやこめっせ」(図1)にSiC(炭化ケイ素)パワーデバイスを搭載し、複数の電源を同時利用できる高効率蓄電システムを導入する。
京都市では岡崎地域におけるエネルギーの効率的利用を推進するため、2013年度からBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)や蓄電池の導入、公共施設間のCEMS(地域内エネルギーマネジメントシステム)の構築に取り組んできた。2015年度はこの取り組みの1つとして太陽光パネル30kW(キロワット)が整備されているみやこめっせに、環境省の地域グリーンニューディール基金補助金を活用して蓄電池を地下駐車場に設置する。導入時期は2016年3月となる予定だ。
設置するのはアイケイエスが開発した世界初のSiCパワーデバイス搭載蓄電システム「I_DENCON(アイデンコン)」で、蓄電池容量10kWh(キロワット時)(図2)。SiCパワーデバイスは、従来のSi(ケイ素)パワーデバイスよりもエネルギー損失を抑えられる。アイデンコンは従来のシステムと比べ、エネルギー損失を4割程度削減することが可能だという。
アイデンコンは「太陽光の電力変換器」「蓄電池の充放電器」「電気自動車(EV)からの電力取出装置」「系統(交流)電力接続装置」の4つのシステムを一体化しており、同時に複数の電源を利用できるのが特徴だ。内蔵する双方向パワーコンディショナー(PCS)が、太陽光発電システムからの入力、蓄電池との入出力、電気自動車とのV2H(Vehicle to Home)の役割をまとめて引き受ける。
みやこめっせはアイデンコンの導入で、太陽光で発電した電力を非常用電源として利用できる。平常時には電力のピークカットを従来のシステムよりも高効率に行うことも可能だ。あわせて既存の電気自動車用の200V充電器(充電時間=7時間)と比べ、充電時間が短い充電装置(充電時間=2.5時間)を蓄電システムの付属機器として導入し利便性の向上につなげていく。
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