世界を追い抜いた日本のスマートホーム、ECHONET Liteが核に:スマートホーム(4/4 ページ)
IT・エレクトロニクス総合展示会「CEATEC JAPAN 2015」で開催されたパネルディスカッション「スマートハウス市場〜世界動向と国内動向〜」では、国内外の有識者が日本のスマートホームの目指すべき方向性について、意見を述べた。
「日本が4年で成し遂げたことは驚くべきことだ」
スマートハウスへの取り組みについてIECのショーンベルグ氏は「日本が4年間でやり遂げたことは驚くべきことだ。フランスでは30年かかっている」と語る。
フランスでは電力制御の歴史として、ブレーカーでの制御からスイッチでの制御に移り、約30年前から電力会社が各家庭に信号を送り、電力需給をコントロールするやり方を行ってきたという。現在はIPを活用した第3世代のスマートメーターを導入しているところだというが「フランスでも現状ではうまくいっているが、さまざまな試行錯誤を重ねてきた。料金設定をどうするかという点や、顧客への教育をどうするかというのは重要なテーマだ」とショーンベルグ氏は述べている。
また、スマートハウスの通信規格について「米国のSEPはどちらかといえば電力会社主導で、欧州のBACnetやKNXはビルマネジメントから生まれてきた規格だ。ECHONET Lightはこれらとはまた異なる生まれ方をしていて興味深い。いずれにせよ、4年間で成し遂げたことというのは素晴らしいことだ」とショーンベルグ氏は語っている。
さらに今後の展望としては「バリューチェーンが広がることは間違いない。これをどう捉えるのかということが重要だ。次のテーマとしてはIoT(Internet of Things)やIoE(Internet of Everything)の考え方が入ってくる。データ分析や活用などを通じ新たな価値をどこで生み出すのかということを考えていかなければならない」とショーンベルグ氏はポイントを指摘している。
広がる電力とICTとの関わり
IoTやIoEとの結び付きが広がる中で、重要になってくるのがICT(情報通信技術)との関わりである。
NECの國尾氏は「電力システムの自律化、分散化が進む中、協調や安定の確保が必要となり、クラウド型HEMSがそのカギを握る。新たな価値創出が求められる中、BtoBtoCのまん中の『B』が重要になるだろう」と述べている。
また、リチャード氏も「新たなサービスの2つのカギはオートメーションとアナリティクスだ。より高度な自動化とともに、収集可能となったデータ分析により、新たな付加価値を生み出すことができる。日本の標準化や環境整備への取り組みは素晴らしかったが、標準化が市場を作るわけではなく市場が標準化を求めているのである。IoTやビッグデータ、HEMSがつながった世界で新しい価値を生み出していかなければならない」と語っている。
関連記事
- 家電に通信機能を持たせる「ECHONET Lite(エコーネット・ライト)」
消費電力量に応じて自動的にエアコンの稼働率を制御したり、照明を消灯するといったことができれば、今以上に節電ができるかもしれない。それを可能にするのが「ECHONET Lite(エコーネット・ライト)」という家電向け通信規格だ。 - 家電とつながる東京電力のスマートメーター、ECHONET Liteで初の認証を受ける
東京電力のスマートメーターに搭載されている通信ユニットが国内標準の認証を受けた。家庭内の電気機器と連携するために必要な通信プロトコルの「ECHONET Lite」を使った実機試験で適合性を認められた。今後は他の電力会社のスマートメーターも同様の認証を受ける見通しだ。 - 企業向けスマートメーターの通信方式を変更、データ送信に「ECHONET Lite」
電力会社は家庭よりも早く企業向けにスマートメーターの導入を進めてきた。ところが従来のスマートメーターには電力の使用量などをデジタル形式のデータで企業に提供する機能がない。この問題を解消するために通信方式を変更して、国内標準プロトコルの「ECHONET Lite」を実装する。 - なぜ今、スマートハウスなのか
このところスマートハウスに大きな関心が寄せられている。わが国が抱えるエネルギー問題の解決策のひとつとして、家庭で取り組むことができる最も有効な方法と考えられるからである。スマートハウスが広がってきた時代背景から始めて、主要な設備機器やシステムの仕組みについて解説していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.