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山林が84%の町にバイオマス発電所、再生可能エネルギーを20%に高める:自然エネルギー(2/2 ページ)
山形県の最上地域は人工林の密集度が高く、間伐で発生する木材の活用が課題になっている。間伐材をガス化して燃料に利用できるバイオマス発電所の建設工事が始まり、2016年10月に運転を開始する予定だ。豊富な森林資源を生かしてエネルギーの地産地消を推進しながら新たな産業を育成する。
町の施設でも木質バイオマスを利用
最上町では発電所に隣接して、燃料用の木質ペレットや木質チップの製造工場も建設する予定だ。山形県には人工林が広い範囲で蓄積していて、特に最上地域では国有林が多い(図3)。地域で間伐を実施して森林を健全な環境に維持する必要があり、間伐した後に大量に発生する用途のない木材の処分が課題になっている。
このため最上町は震災の前から間伐材を活用して再生可能エネルギーの地産地消に取り組んできた。町が運営する「ウエルネスプラザ」には木質バイオマスを燃料に利用できるボイラー3基を導入して、施設全体の冷暖房と温水を再生可能エネルギーで供給している(図4)。新たにバイオマス発電所を加えて、地域全体の雇用と観光にもつながるバイオマス産業都市を目指す。
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