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小売電気事業者は100社を超える、再生可能エネルギーの供給者が相次ぎ登録動き出す電力システム改革(48)(2/2 ページ)

2015年8月に始まった小売電気事業者の登録申請は10月末の時点で100社に達する見通しだ。登録を完了した事業者は2016年1月から需要家の契約変更を受け付けて4月の全面自由化に備える。再生可能エネルギーに注力する事業者が数多く出そろい、家庭で利用する電力の選択肢が広がっていく。

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年内に決まる託送料金が新規参入を促す

 業種別に見ると、同じエネルギー分野からガス会社や石油会社が続々と登録を開始した(図3)。都市ガスの大手では大阪瓦斯(ガス)だけが登録を完了したが、東京ガスも10月15日に申請書を提出済みだ。同様に石油会社では最大手のJX日鉱日石エネルギーが未登録だが、2016年4月から関東の家庭向けに「ENEOSでんき」の販売に乗り出す計画を発表している。


図3 業種別の小売電気事業者(資源エネルギー庁の分類による)。下線は現行制度の新電力。出典:資源エネルギー庁

 このほかに再生可能エネルギーを事業の中核に据える企業や団体の登録が多い点にも注目だ。家庭や商店ではCO2(二酸化炭素)を排出しないクリーンな電力を求める利用者が数多く存在する。再生可能エネルギーを主体に電力を販売する事業者は全国各地に広がっていくだろう。

 小売電気事業者にとっては、電力会社の送配電ネットワークを利用するために支払う「託送料金」の水準が競争条件を左右する。販売価格を決めるにあたり、電力の調達コストに加えて託送料金が原価の大半を占めることになるからだ。電力会社10社は7月に託送料金の認可を申請済みで、国の審査を経て年内に確定する見込みである(図4)。


図4 電力会社が認可を申請した託送料金(家庭などの低圧向け)。出典:資源エネルギー庁

 従来の電気料金の認可プロセスを考えると、申請額から1割前後の引き下げで決着する可能性が大きい。そうなると託送料金が高い沖縄では競争が生まれにくい。対して託送料金が安くて市場規模も大きい関西では、企業向けに続いて家庭向けの小売でも激しい競争が繰り広げられる。

第49回:「電気料金は自由競争で安くなる、最高でも電力会社の規制料金に」

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