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“倒れる”風力発電、台風の多い沖縄県で4島目の稼働:自然エネルギー
沖縄電力は、沖縄県多良間島(たらまじま)に、台風時などに倒して強風を回避できる「可倒式」の風力発電設備を建設し、営業運転を開始した。沖縄電力の可倒式風力発電設備の導入は4島目となる。
沖縄電力は、多良間島で建設中だった多良間可倒式風力発電設備の営業運転を開始したことを発表した。
可倒式の風力発電設備は風車の羽根(ブレード)が2枚で地面に平たく倒すことができることが特徴だ。台風による強風の影響を強く受ける沖縄および周辺の離島では、通常の風力発電設備は、強度レベルの向上や、復旧費用増大などの課題を抱えているが、台風時には倒すことで被害を回避し、台風通過後はすぐに発電を再開することができる点が特徴である(図1)。また、メンテナンスにおいても地面での実施が行える他、建設時に大型クレーンが不要であり、丘陵地などにも建設が可能だという利点がある。
今回導入した可倒式風力発電設備は、ナセルとブレードがフランスのVergnet SA社製のものを利用し、タワー他を沖縄電力グループのプログレッシブエナジーが担当した。定格出力は245kW(キロワット)で、定格風速は13.5メートル毎秒、起動風速は4メートル毎秒、停止風速は22メートル毎秒となっている。ブレードの直径は30メートルで、ハブの高さは38メートルだという(図2)。
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