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電力とガスの自由化へ攻める東京ガス、4番目のLNG基地を試運転:電力供給サービス(2/2 ページ)
東京ガスは茨城県の日立港にLNG基地を建設中で、11月9日に試運転を開始する。既設のLNG基地は3カ所すべて東京湾岸にある。電力とガスの自由化に向けて北関東エリアの供給力を増強するのと同時に、災害時のバックアップ体制を強化する狙いだ。2016年3月までに営業運転に入る。
福島県までパイプラインを延長
さらに2020年までに日立LNG基地から太平洋沿岸に沿ってパイプラインを拡張する計画がある。このパイプラインが稼働すると、東京湾岸にある主力の「袖ケ浦LNG基地」と日立LNG基地が2つのルートでつながり、災害時のバックアップ体制を強化することができる(図4)。
このほかにも福島県いわき市にあるLNG供給拠点の「小名浜サテライト」と日立LNG基地を結ぶパイプラインを建設中で、2016年1月に使用を開始する。東京ガスは東北電力と提携して、北関東を中心に電力とガスの販売体制の強化に乗り出している。両社の提携範囲は福島県を中心とする南東北エリアにも広がっていく見通しだ。
2016年4月に家庭を含めて電力の小売全面自由化が始まると、電力と都市ガスをセットにして安い料金で販売することが可能になる。東京ガスは家庭向けに通信サービスも加えた多彩なセットメニューを用意する方針を先ごろ発表した。
2017年4月には都市ガスの小売全面自由化が始まり、2022年4月には都市ガスの供給インフラである「導管」(電力会社の送配電インフラに相当)の事業を分離することも決まっている。東京ガスは電力と都市ガスの供給インフラを早急に増強して、自由化を機にエネルギー市場の競争力を高める戦略である。
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