日本のエネルギー消費は2.7%減少、脱化石燃料が進み5年振りにCO2も削減:エネルギー供給
2014年度のエネルギー需給実績が公開された。最終エネルギー消費は前年度比2.7%減少した。一次エネルギー供給は石油から再生可能エネルギーなどへの燃料転換も進んでいる。こうした影響で5年振りにCO2排出量も減少した。
資源エネルギー庁が「2014年度エネルギー需給実績(速報)」を公表した。2014年度の最終エネルギー消費は、2013年度比2.7%減の1万3638PJ(ぺタジュール)で、2011年の東日本大災以降、省エネが進展したことなどが影響し4年連続で減少する結果となった(図1)。
部門別に見ると、企業・事業所他部門が同2.1%減、家庭部門が同4.1%減、運輸部門が同3.3%減となっている。冷夏・暖冬の影響もあり、家庭部門の削減が最大という結果だ。
石油からガスや再エネへの燃料転換が進行
一次エネルギーの国内供給は、2013年度比3.8%減となった。2014年度は国内全ての原子力発電所が稼働を停止したことにより、原子力の比率がゼロになっている点がポイントだ。一次エネルギー供給は、石油の比率が同1.4%ポイント減となる一方、天然ガスが同1.1%ポイント増、再生可能エネルギーが0.6%ポイント増となった。石油やガスからの再生エネなのどへの燃料転換が進んでいることが分かる。
特に転換が進んだのが事業用発電の分野だ。燃料構成は石油の比率が前年度比4.2%ポイント減となる一方、都市ガスを含む天然ガスが2.9%ポイント増、再生可能エネルギー同1.2%ポイント増となり、転換の傾向が顕著に表れている。
CO2排出量も5年振りに減少
エネルギー消費に起因するCO2排出量は、前年度比3.6%減となった。排出量が減少したのは5年振り。CO2排出量は震災後の原発稼働停止などの影響により、4年連続で増加してきた。資源エネルギー庁は発電源が石油やガスから再生可能エネルギーに転換が進んだことや、省エネの進展などにより、前年度比3.6%減少となったとしている。
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