世界最先端の石炭ガス化発電所、福島県の2カ所で2016年9月に着工へ:電力供給サービス(2/3 ページ)
東京電力が福島県で進めている「石炭ガス化複合発電」のプロジェクトが着工に向けて最終局面に入った。建設に必要な環境影響評価の手続きが第3段階まで進み、2016年9月に県内の2カ所で工事を開始できる見通しだ。CO2排出量を抑えた石炭火力発電所が2020〜21年に運転を開始する。
2020年のオリンピックに間に合わせる
火力発電に伴うCO2排出量の削減が急務の政府と電力業界にとって、IGCCにかける期待は大きい。すでに勿来発電所ではIGCCを採用した日本で初めての商用機が2013年6月に運転を開始している。発電能力は25万kW(キロワット)で、IGCCの連続運転時間で世界記録を達成した実績もある。
この既設のIGCCに隣接する場所に、発電能力が2倍以上の54万kWの設備を新設する(図4)。計画では2016年9月に着工して、3年後の2019年10月に試運転を開始する予定だ。その後11カ月間の試運転を経て、2020年9月に営業運転に入る。
福島のIGCCプロジェクトは2020年の夏に開催する東京オリンピック・パラリンピックを機に、世界に向けて大震災からの復興を印象づける狙いもある。勿来発電所のIGCCは試運転の状態ながら2020年の夏には間に合う見込みだ。
もう1カ所の広野火力発電所にも、同規模のIGCC設備を新設する(図5)。着工時期は勿来発電所と同じ2016年9月を予定しているが、既設の設備の改良工事を伴うため、完成までに1年長くかかる見通しだ。オリンピック直後の2020年10月に試運転を開始して、2021年9月に営業運転へ移行する。
広野火力発電所では現在6基の設備が稼働中で、石油火力4基と石炭火力2基で構成している(図6)。石油火力のうち2基は現時点でも運転開始から35年を経過しているため、2020年代には廃止する可能性が大きい。残る2基の石油火力発電設備を含めて、高効率の石炭火力へ順次移行していくことになる。
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