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世界最先端の石炭ガス化発電所、福島県の2カ所で2016年9月に着工へ電力供給サービス(3/3 ページ)

東京電力が福島県で進めている「石炭ガス化複合発電」のプロジェクトが着工に向けて最終局面に入った。建設に必要な環境影響評価の手続きが第3段階まで進み、2016年9月に県内の2カ所で工事を開始できる見通しだ。CO2排出量を抑えた石炭火力発電所が2020〜21年に運転を開始する。

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ピーク時に2000人の雇用を創出

 ただしIGCCには課題もある。従来の石炭火力発電よりも設備が複雑で、建設コストが高くなることだ。新たに建設するIGCCでは主要な設備が4つある。石炭を蒸し焼きにしてガスを発生させる「ガス化設備」をはじめ、発生したガスから有害物質を除去する「ガス精製設備」、ガスタービンと蒸気タービンを備えた「複合発電設備」のほか、石炭のガス化に必要な窒素と酸素を供給するための「空気分離設備」で構成する(図7)。


図7 IGCCの設備構成(上)、完成イメージ(下、勿来発電所)。出典:東京電力、常磐共同火力

 その一方で精製したガスを利用して発電すると、CO2以外にも有害物質の硫黄酸化物や窒素酸化物の排出量を削減することができる。さらにガス化する石炭には融点が低い低品位炭を利用できるメリットもある。2カ所に新設するIGCCの設備を使って発電コストや環境性能を実証したうえで、2020年代から国を挙げて建設プロジェクトを拡大していく。

 発電能力が15万kW以上の火力発電所を新設する場合には、建設工事の前に4段階にわたる環境影響評価を実施する必要がある。東京電力と常磐共同火力は2014年5月に手続きを開始した。現在は第3段階の「環境影響評価準備書」の手続きを進めているところで、11月25日に国と自治体に準備書の届出・送付を済ませた(図8)。


図8 環境影響評価の手続きの流れと現状。出典:東京電力、常磐共同火力

 準備書の手続きは開始から270 日以内、最後の「環境影響評価書」の手続きは30日以内に完了することから、順調に進めば2016年9月の着工予定に間に合う。東京電力は2カ所のIGCC設備の建設工事を通じて、ピーク時に1日あたり最大2000人規模の雇用創出を見込んでいる。

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