人口3万人の町を超小型EVが変える、埼玉県上里町で実証開始:電気自動車
埼玉県の県北に位置する上里町で地元メーカー開発の超小型モビリティを利用した新たな町づくりための実証実験がスタートした。
実証実験は埼玉県上里町で安全・安心で環境に優しく暮らしやすい町づくりを検討するため発足した「上里町超小型モビリティ利活用推進協議会」で産官学が連携して実施する。
2015年11月30日から町民36世帯(上限)を対象とした小型モビリティの車両貸し出しなどを行う。この実証実験では、低炭素で環境に優しい超小型モビリティを活用し、地方での高齢者や子育て世代などの移動手段として、自立支援の新たな町づくりの可能性を検証する。
今回、貸し出される超小型モビリティには地元で太陽光発電システムの施工などを行うプランのグループ会社、HTM−Japanが開発した2人乗り電気自動車(EV)「超小型モビリティこむぎっちカー」が採用された。同車はイタリアのデザイナーによるオリジナルデザイン設計で洗練された車体カラーと外観デザインが特徴。車体全長は2メートル23センチ、全幅1メートル52センチ、全高1メートル66センチのコンパクトサイズで、通常1台分の駐車スペースに3台分の駐車ができる(図1)。
車体は特殊アルミニウム合金により一体化した構成により安全で頑丈な運転席保護設計となっている。駆動用電気モーターがホイール内にあるインホイールモーターの採用により、駆動力がホイールへ直接伝達されるために、駆動伝達損失がない。左右輪の駆動力配分を自在に変更できるため将来は走行姿勢制御などにも期待されている。座席は人体工学に基づき作られているので乗り心地もよく運転操作性も高いことから高齢者なども安心して利用できる。太陽光により超小型モビリティを充電し走行する。無制限連結可能の「オリジナルコントローラー」を用いて小型モビリティを連結しインバータに蓄電し、蓄電した電気を例えば災害地の避難所などで使うことができる。
今回の実証実験では、太陽光発電の再生可能エネルギーの電力で充電し走行する走行実験を中心に行う。また、災害時に超小型モビリティこむぎっちカーを多数台連結して電力を確保し、避難した高齢者・乳幼児・けが人が安心して過ごせるよう避難所への電力供給などについても実証する。貸し出し期間は2016年2月29日まで。
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