ポルトガルで総事業費160億円の洋上風力発電、半潜水型の浮体式を採用:自然エネルギー
ポルトガル沖で進んでいる浮体式洋上風力を用いた発電事業に、三菱商事と千代田化工建設など5社が出資参画した。ポルトガルのWindplus社が総事業費は160億円を投じ、合計25MWの浮体式洋上風力発電設備を設置するもので、商業運転開始は2018年を予定している。
ポルトガル沖の大西洋で浮体式洋上風力を用いた発電事業の計画が進んでいる。同事業に三菱商事と千代田化工建設、EDP Renewables社(本社=マドリード)、Engie社(パリ)、Repsol社(マドリード)の5社が出資参画した。三菱商事と千代田化工建設はそれぞれ100%子会社を通じ、20%ずつ出資する。
同風力発電事業はポルトガル電力公社が設立した合弁会社であるWindplus社が事業主体となり、ポルトガル北部のヴィアナ・ド・カステロ市の沖合20キロメートルの大西洋上に、3機もしくは4機からなる合計25MW(メガワット)の浮体式洋上風力発電設備を設置するもの(図1)。商業運転開始は2018年を予定している。総事業費は約160億円だ。
同事業で採用する浮体技術「WindFloat」とは、米国のPrinciple Power社(シアトル)が開発した3本の柱で構成される半潜水型浮体式基礎構造のこと。洋上に風力発電設備を載せて浮かべ、ケーブルで海底に固定する仕組みだ(図2)。
既にこのWindFloatにデンマークのVestas社製のタービンV80(出力2MW)を搭載した実証機(WindFloat1)が、ポルトガル沖で稼働している(図3)。この実証機は過酷な天候条件にも左右されずに、運用開始から4年間で16GWh(ギガワット時)を発電した実績があるという。
なお、同事業は欧州委員会およびポルトガル政府の補助金対象事業に選定されていることに加えて、欧州投資銀行の革新技術支援プログラムを通じた融資事業候補にも選定されている。
三菱商事は、現在オランダにおける着床式洋上風力発電事業や、イギリス・ドイツでの海底送電事業を手掛けている。今後も引き続き欧州で再生可能エネルギーを含めた発電事業を積極的に拡大し、現在グローバルベースで保有する発電資産約500万kWを2020年までに750万kWへ拡大する方針だ。
千代田化工は中期経営計画(2013〜2016年)において、再生可能エネルギー分野事業の強化・拡大を成長戦略として掲げており、この事業への参画はこれらを推進するものだ。海外向け電力事業投資案件は今回が初になるという。
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