日本最大クラスのバイオマス発電用ストックヤードを愛知県内に建設:自然エネルギー
バイオマス発電事業関連のコンサルタントや燃料の生産・輸入・販売などを行うバイオマスパワーコンサルティングはこのほど、日本最大クラスのバイオマス発電用燃料のストックヤードを愛知県内に建設する。
バイオマスパワーコンサルティング(東京都中央区、以下BPC)は、バイオマス発電事業のコンサルタントおよび燃料の生産・輸入・販売などの事業を展開。また、グループ企業として日本最大規模の森林伐採権と、燃料の自社生産工場を所有している。
バイオマスは英語のBio(生物資源)Mass(量)を表し、木質資源などから生まれた再生可能な有機性資源を指す。バイオマス発電は「発電」そのものを見るとCO2を排出するが、使用する燃料である木材の生育時にCO2を吸収していることから、そこで発電のために発生するCO2を相殺するという考えに立ち、環境に負荷を与えない発電として注目を集めている。
BPCが建設を発表したバイオマス用燃料のストックヤードは、日本最大クラスの約1万3200平方メートルのもの。木質ペレットをメインに、ここから近隣地区の発電所に供給を行う。着工は2016年1月を予定し、完成は2017年夏を目標としている(図1)。
BPCでは2015年3月に、木質バイオマスの安定供給基盤の強化を目指し「BPCバイオマスプロジェクト」をスタートした。さらにスタートと同時に海外生産工場への投資を開始しており、同年8月には、国内で年間15万トンの木質ペレット燃料が生産可能な生産工場の建設へ着工した。年間15万トンの生産量は、現状では日本最大規模という。
今回の愛知地区でのストックヤード建設は、このプロジェクトの一環。6棟の建屋より構成される予定のストックヤードは、1棟当たり幅35メートル、奥行き60メートルの大きさで、年間延べ60万トンの木質ペレットの受入・供給が可能だ。
なかでは木質ペレットを90%、PKS(パームヤシ殻)などが10%の割合で、発電用燃料合計約2万1000トンの貯蔵ができる。これは50メガワット(MW)クラスの木質ペレット専焼火力発電所1基あたり、4週間分の燃料になる。
BPCはこのストックヤードが供給面での発電所の安定稼働だけでなく、貯蔵面としても燃料生産側の稼働計画に大きな役割を果たすことを期待している。
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