日立が三菱重工から2.5MW風力発電システムのライセンスを取得:自然エネルギー
日立製作所は、三菱重工業が開発した2.5MW風力発電システムにおいて、日立製作所が国内陸上風力発電所向けに製造、販売、保守することが可能となるライセンス契約を、三菱重工業と締結した。
今回のライセンス契約は、三菱重工業(以下、三菱重工)が開発した2.5MW(メガワット)風力発電システム(型式=MWT100A/2.5)を対象としたもの。この契約により日立の風力発電システムは既存の2MW、5MWに、新たに2.5MWが加わることになる。日立では充実したラインアップで幅広いニーズに対応し、風力発電システム事業のさらなる拡大を目指す。また、三菱重工は風力発電システムの技術をライセンス供与することで国産風車による日本での再生エネルギー分野の発展に貢献していくという狙いだ(図1)。
国内の風力発電市場は2012年に固定価格買取制度が導入されて以降、発電導入量が増加しており、2030年には現在の290万kW(キロワット)から1000万kW以上に増加すると見込まれている。
日立はローターをナセル(発電機などを収納するボックス部分)の風下側に配置する独自のダウンウィンド型風力発電システムを国内で200基以上受注した実績がある。陸上風力発電所向けには2MWの風力発電システムを、洋上風力発電所向けには5MWタイプを国内で納入してきた。
国内の陸上風力発電市場では、限られた立地の中で、より大きな発電量が得られる大型の風力発電システムへのニーズが高まっている。日立ではこうした市場ニーズ対応するため今回、三菱重工から2.5MW風力発電システムの製造などにかかわるライセンス供与を受けた。ラインアップの充実で立地条件や事業計画などのニーズに対応した幅広い選択肢を提供できることになる。
ライセンス供与を受けたMWT100A/2.5は定格出力2500kW、ローター系は100メートル。ハブ高さは80メートル。またナセルが一体型であるため、同規模の風力発電システムと比較して小型で軽量であることから輸送や建設コストを低減することができるなどの特徴がある。
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