ニュース
落差300メートルの水力発電所が稼働、年間に1万トンのCO2削減:自然エネルギー(2/2 ページ)
古くから水力発電が盛んな富山県で新しい発電所が運転を開始した。渓谷を流れる川の上流から水を取り込み、1キロメートルほど下流に建設した発電所まで水路を使って流し込む方式だ。水流の落差は300メートルにもなり、最大で4400kWの電力を供給することができる。
水力発電を2020年までに1億kWh増やす
新たに水力発電所を建設した場所は「別又谷(べつまただに)」という渓谷にある。標高2000メートルを超える北アルプスから日本海に注ぐ片貝川の上流にあたり、国内でも屈指の急流で知られている。こうした川の高低差を生かして、水路式の水力発電所が数多く稼働中だ。別又谷の近くでは1900年代の初めに造られた水路式の発電所が現在も2カ所で運転を続けている(図3)。
北陸電力は電力会社10社の中で水力発電の比率が最も大きい。2013年度の総発電量に占める割合は27%に達した(図4)。日本全体では水力発電の比率が9%程度にとどまることから、その3倍の水準である。ただしCO2排出量の多い石炭火力の比率が60%を占めるため、水力を含めて再生可能エネルギーの拡大が欠かせない。
北陸電力は2020年度までに水力による発電量を2007年度と比べて1億kWh拡大する計画を推進中だ。出力が3万kW未満の中小規模の水力発電所を新設するほか、老朽化した水力発電所の設備を更新して出力を増強しながら発電量を増やしていく。
関連記事
- 水の王国に小水力発電が広がる、地熱やバイオマスも導入開始
富山県は3000メートル級の山々を水源にして豊富な水量に恵まれている。古くから稼働を続ける大規模な水力発電所に加えて、農業用水路などを活用した小水力発電の取り組みが活発に進む。温泉の地熱を利用した植物工場や、地域の森林資源を生かしたバイオマス発電所も動き始めた。 - 未利用の水流が480世帯分の電力に、37メートルの落差を活用する小水力発電所
富山県は豊富な水源に恵まれており小水力発電が盛んな地域だ。新たに黒部渓谷にある関西電力所有の「出し平ダム」に、未利用の維持流量を活用する発電所が完成した。維持流量とダムの落差を利用して、年間に171万kWhの電力を発電する見込みだ。 - 水力発電1kWh増に向けまい進する北陸電力、2拠点の出力を増強
水力発電の発電量拡大に取り組む北陸電力は、水力発電所の出力増強に取り組む。新たに石川県白山市の白峰発電所と、福井県大野市の中島発電所の増強を発表した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.