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2030年に電力の自給率37%へ、「環境首都」を目指して東京に対抗エネルギー列島2015年版(36)徳島(2/3 ページ)

徳島県は再生可能エネルギーで地方創生に取り組む新戦略を打ち出した。「環境首都」を掲げて東京都に対抗する意気込みのもと、太陽光を中心に風力・小水力・バイオマスの導入量を拡大させる計画だ。電力の自給率を2030年度までに37%へ引き上げ、水素エネルギーの普及にも力を入れる。

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風況の良い山岳地帯に風力発電所

 徳島県の再生可能エネルギーは大規模な水力発電所を除くと、太陽光発電の導入量が圧倒的に多い(図5)。今後も太陽光が最も大きく伸びるものの、同時に風力・小水力・バイオマスを増やしてバランスのとれた電源構成を目指す方針だ。さらに各種の再生可能エネルギーと水素を組み合わせて、新しい産業を生み出す計画も進んでいる。


図5 固定価格買取制度の認定設備(2014年12月末時点)

 徳島県内には風況に恵まれた地域が広く分布している。東側の沿岸部は風力発電の条件になる年間平均風速5.5メートル/秒を上回る(図6)。内陸の山岳地帯には8メートル/秒を超える場所もあり、新しい風力発電所の建設計画が進行中だ。


図6 徳島県の年間平均風速(画像をクリックすると拡大して広域を表示)。出典:徳島県県民環境部

 中部の上勝町(かみかつちょう)を中心に3つの町と村にまたがる山の稜線に沿って、発電能力が39MWにのぼる風力発電所の建設が環境影響評価の最終段階にある。手続きが完了すれば建設工事に入って、2020年までには運転開始が見込まれる。

 一帯は年間の平均風速が6メートル/秒を超える風況の良い地域で、設備利用率は風力発電の標準値20%を上回る。年間の発電量は一般家庭の2万世帯分を超える見通しだ。立地する3つの町と村の総世帯数(3800世帯)に対して6倍近い規模の電力供給量になる。

 建設計画を進めているユーラスエナジーグループは同じ地域の高原で2009年から、四国電力グループと共同で「大川原(おおかわら)ウインドファーム」を運転してきた。15基の風車で19.5MWの発電能力がある(図7)。


図7 「大川原ウインドファーム」の風車。左手前に見える施設は天体観測ドームを備えた村営施設。出典:四電エンジニアリング

 年間の発電量は4100万kWhにのぼり、1万1400世帯分に相当する。設備利用率は24%になる。計画中の風力発電所が同程度の設備利用率を発揮できれば、2つの風力発電所だけで徳島県内の電力需要の2%程度をまかなえる。

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