電気自動車の充電予定時間に応じ、電力を最適配分する実証を開始:電気自動車
複数台の電気自動車などを同時に充電する場合、設備能力や契約電力量に合わせた充電電力を制御する必要がある。これまでは複数台に均等に電力配分していたが、これだと短時間充電利用者への充電量が不足してしまう。豊田自動織機などの3社は充電予定時間をもとに最適に充電電力を供給する実証を開始する。
トヨタメディアサービス、豊田自動織機、日本ユニシスの3社は、環境省から「EV/PHV利用促進プラットフォーム事業」の「平成27年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」推進企業として採択を受け、2015年7月から電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)のさらなる普及に向けた実証事業を開始している。同年12月19日からはこの事業の一環として、新たに複数台充電器の電力制御に関する実証を開始した。
3社は2014年度にEV・PHVの普及促進および利用促進のため、全国の充電器の位置情報や稼働状況を一元管理する「EV/PHV利用促進プラットフォーム」、および同プラットフォームが把握する充電器情報を簡単に閲覧できるスマートフォンアプリ「全国EV・PHV充電まっぷ」を開発している(図1)。
同充電まっぷでは、充電器利用者が使用する充電器の充電予定時間を同プラットフォーム上に登録することで、他の利用者が充電器の混雑状況を確認することが可能だ。今回の実証ではこの充電予定時間の情報を活用して、複数台の充電器の電力を制御していく。
公共施設、商業施設の駐車場などで複数台のEV・PHVを同時に充電する場合、設備能力や契約電力量に合わせた充電電力の制御が必要となる。これまでは充電器利用者の充電予定時間に関係なく、複数台に均等に電力配分する均等方式を採用していたが、短時間充電利用者への充電量が不足するという課題があった。
今回、実証するシステムでは、同利用促進プラットフォームから取得する充電予定時間をもとに、複数台充電器が短時間充電利用者に対して多くの充電電力を提供する優先順方式を用いる(図2)。また、設備能力、契約電力量に応じたピーク電力を効率的に配分することで電力の利用効率向上と運用コストの低減が可能になるとしている。
同実証には総合小売業のユニーが協力。実証はアピタ名古屋空港店(エアポートウォーク名古屋内)で行う。大型商業施設でこの優先順方式による利便性の向上と利用効率向上によるCO2排出量の削減効果も検証していく。
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