未利用熱の回収性能を3倍に、1300度に耐える熱交換器:蓄電・発電機器
未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合はNEDOプロジェクトにおいて、産業/工業炉から廃棄される熱エネルギーを従来比3倍の性能で回収できる高効率熱交換器を開発した。1300度の耐高温性能を持っている。2015年12月から販売を開始する計画だ。
運輸・産業・民生のあらゆる分野において、多くの1次エネルギーが排熱として未利用のまま放出されてしまっている。今後さらなる省エネを進めるには、こうした未利用熱を活用していく必要がある。そこで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ではこうした未利用熱エネルギーの活用に向け、2015年度から「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」プロジェクトを推進している。
その成果の1つとして、同プロジェクトの中心組織である未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)は、産業/工業炉から廃棄される熱エネルギーを従来比3倍の性能で回収できる高温用の高効率熱交換器を開発した。1300度の耐高温性能を持つのが特徴で、同組合員である美濃窯業が製品化して2015年12月から受注を開始する。
高温で使用される熱交換器において、耐高温性能と熱回収性能の両立はトレードオフの関係にある。この両立を目指すため、今回開発した熱交換器は、従来の熱交換器の構造と材質を見直した。
特殊耐火材を使用することで、放熱気体温度1300度までの耐熱性と高熱伝導を実現。構造面では2重筒と多筒管のハイブリッド構造を採用することで、熱伝達面積を増加して効率的な熱伝達を可能にした。放熱気体温度1300度で回収性能を従来品と比べた場合、従来品の回収率は約5〜7%だったのに対し、開発品は約24%と約3倍の熱回収性能を実現したという。
製品化を行う美濃窯業は今回開発した熱交換器の普及を進めるとともに、より高温な1500度までの耐高温性能を持つ高効率熱交換器の実現を目指し、引き続き開発を継続する方針だ。
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