発電のモバイル化へ、スマートフォンの充電問題を燃料電池で解決:蓄電・発電機器
英国Intelligent Energyは、2016年1月6〜9日に米国ラスベガスで開催された展示会「CES2016」において、スマートフォンやタブレット、ドローンなどに組み込める燃料電池を披露した。現行のリチウムイオン電池のみを使用する機器に比べて稼働時間を大きく伸ばせるという。
英国Intelligent Energy(インテリジェントエナジー)は、燃料電池の開発や研究を進めるエネルギー技術企業で2015年12月には、燃料電池を航続距離を伸ばす「レンジエクステンダー」として採用したドローン(無人飛行機)を発表したばかりである(関連記事)。
今回披露したのは、さまざまな民生用電子機器に部品として組み込めるさまざまなタイプの燃料電池の試作機である(図1)。いずれも使用時間を従来電池に比べて大幅に伸ばすことが可能だという。
スマートフォンやタブレット、ノートPCやドローンなどに適用可能としており、既存の電池を置きかえることなく新たに搭載することで、稼働時間を大きく伸ばせる。Intelligent Energyの民生部門のマネージングディレクターであるジュリアン・ヒューズ(Julian Hughes)氏は「われわれの燃料電池は独立して機器に電力を供給する電力源とできる。一方で既存のバッテリーを補完するような使い方もできる」と述べている。スマートフォンなどで、既存のバッテリーに燃料電池を加えることで、1週間充電なしで使用し続けることができるとしている。
インターネットに接続した機器が2020年までに500億個に達するとみられる中、モバイル機器の電源の問題は今後大きくなると見られているが同氏は「われわれは民生機器において、エネルギー生産のモバイル化を行いたいと考えている」と述べている。
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