大規模風力発電で500億円規模の共同運営ファンドを組成:自然エネルギー
日本風力開発と日本政策投資銀行は大規模風力発電を共同運営するファンドを設立する。風力発電で初めてとなるキャピタルリサイクリングモデルを目指すという。
日本風力開発(JWD)と日本政策投資銀行(DBJ)は共同で「日本風力開発ジョイントファンド(仮名、匿名組合出資契約に基づく、私募のエネルギーインフラファンド)」を設立した。JWDおよびJWDの関係会社が保有する稼働中の風力発電施設(発電容量合計最大20万キロワット)を取得し、その上で該当する風力発電施設を共同運営する。同ファンドの規模は約500億円。2016年4月からの運用開始を見込む。出資期間は各発電所で固定買取制度における売電期間終了までを予定。なお、各風力発電設備のオペレーションおよびメンテナンス業務は引き続きJWDグループが担当する計画だ。
今回、JWDとDBJは日本での風力発電の一層の普及・拡大に向けて、風力発電事業に関して、初めてとなる「キャピタルリサイクリングモデル」を志向した取り組みを共同で行う。キャピタルリサイクリングモデルは、資本効率の向上を目指し、既に保有・運営する複数の風力発電施設を、同ファンドへ売却することで投下資金の一部を回収し、それを新たな風力発電施設の開発や風力発電事業への投資に振り向けることを通じたビジネスの循環的拡大を想定したビジネスモデルだ。
DBJは長期間、再生可能エネルギー分野を支援し、特に最近では国内外の風力発電・メガソーラー・バイオマス発電プロジェクトに対してリスクマネーの供給を行うなど、再生可能エネルギーの導入拡大を積極的に支援してきた。こうした中で、2015年7月に決定された長期エネルギー需給見通しにおける2030年までの国内再生可能エネルギーの導入目標を実現するためには多額の投資が必要となることからキャピタルリサイクリングの仕組みを再生可能エネルギー分野全体に普及させ、事業者による投資加速とプロジェクトコストの低減を金融面から支援していく。
DBJは再生可能エネルギー分野で、今後増加が見込まれる投資需要に対して、投融資機能を活用するとともに、機関投資家への長期投資機会の提供などを通じ、キャピタルリサイクリングに積極的に取り組む方針だ。
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