再生可能エネルギーの電力が10万世帯分、木質バイオマスが地域をめぐる:エネルギー列島2015年版(39)高知(2/3 ページ)
森林率が全国1位の84%に達する高知県で木質バイオマス発電が活発に始まった。2015年に2つの発電所が相次いで運転を開始して、地域で発生する未利用の木材を燃料に電力と熱を供給する。太陽光発電では自治体と地元の民間企業が共同で出資する事業モデルが県内各地に広がってきた。
県と市町村が出資して7カ所で太陽光発電
木質バイオマスによる発電事業が順調に拡大する一方では、太陽光発電の導入量も着実に増えてきた。東西に広がる高知県の南側は太平洋に面して、全国でもトップクラスの日射量がある。2012年度から官民の連携による「こうち型地域還流再エネ事業」を推進してきた成果が、県内7カ所の太陽光発電所に結びついた(図5)。
この事業は高知県が調整役になって、県内の市町村と民間企業を加えた共同出資方式で事業を運営する。市町村が抱える遊休地を活用して再生可能エネルギーを増やすのと同時に、発電事業で得た収益を地域に還流させることが目的だ。7カ所の発電所の運営会社には高知県と6つの市町村、さらに県内の民間企業17社が参画している。
7カ所の中で規模が最も大きいのは、東部の安芸市(あきし)で2014年11月に運転を開始した「こうち安芸メガソーラー」である。安芸市内の山中に広がる7万平方メートルの市有地に建設した(図6)。発電能力は4.5MWで、年間の発電量は540万kWhになる。
高知県と安芸市が55%を出資して、残りを地元の民間企業5社が出資した。県内で太陽光発電システムの建設・販売を手がける荒川電工を中心に、高知銀行グループのリース会社や地元の建設・設備工事会社が加わって発電事業を運営する体制だ。荒川電工は日高村と土佐清水市のプロジェクトでも同様の役割を担っている。
2015年4月には県北部の土佐町の町有地に建設したメガソーラーも運転を開始した。高知県と土佐町が出資した「こうち名高山(なこうやま)ソーラーファーム」で、発電能力は1.2MWある(図7)。民間から四電工グループの高知クリエイトなど4社が出資して発電事業を運営している。
こうして官民連携によるメガソーラーが県内各地に広がり、最近では大資本の参入も始まった。三菱商事グループが内陸部の香美市(かみし)に、発電能力が34MWの大規模なメガソーラーを建設する計画だ。2017年2月に運転を開始する予定で、完成すれば四国で最大の太陽光発電所になる。年間の発電量は1万世帯分に匹敵する。
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