太陽光電力を直流のまま使えるLED照明、大手ゼネコンも採用:LED照明
さまざまな施設で利用される電力は直流/交流変換を必要とするのが一般的で、その際に電力損失が生じている。こうした電力ロスを低減する直流給電技術に注目が集まってきた。日栄インテックは「ライティングジャパン2016」で、直流給電対応したLED照明技術をアピールした。
日栄インテックは「ライティングジャパン2016」(2016年1月13〜15日、東京ビッグサイト)に出展し、太陽光発電設備で発電した直流電力を交流変換せずに利用できるLED照明技術をアピールした。大手ゼネコンが建設する実証研究棟への採用も決まっているという(図1)。
太陽光発電設備で発電した電力は直流だ。通常、この電力を活用する場合はパワーコンディショナーなどで交流に変換して、建物や住宅の中の電力線に取り込む。
この交流電力をLED照明などで利用する際には、再び機器内で直流に変換して使用する。つまり太陽光発電設備で発電してから、その電力を使うまでに2回の変換が行われている。この際に電力損失が生まれ、エネルギーの無駄が生じている。日栄インテックが開発した直流給電対応のLED照明は、交流変換を行わずにそのまま直流が利用できるため、電力使用効率が向上し、省エネ効果が見込めるという仕組みだ。
日栄インテックでは「Premium Light」シリーズを始め、オフィス、住宅、工場などのさまざまな領域を対象にLED照明事業を展開している。直流給電対応のLED照明に関しては、大学キャンパスのスマート化を進める三重大学への採用実績があるという。これは三重大学が2011年度から取り組んでいる「三重大学スマートキャンパス(MIESC)実証事業」の一環で、キャンパス内にあるコンビニに直流48ボルトで使用できるLED照明を設置し、太陽光発電の直流電力を変換せずに利用している。この事例では約18%の省エネ効果を見込んでいるという(図2)。
政府が2020年を見据えて「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」や「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」の実現に向けたロードマップを発表するなど、住宅・ビル分野を中心に今後さらなる省エネに向けた取り組みが求められつつある。その中で現在利用されている交流給電の電力損失を低減できる直流電力の利用に注目が集まり始めている。
こうした直流電力は太陽光発電や蓄電池などの直流電力で出力する機器などとの相性も良い。今後、分散型エネルギー社会を実現する上でも注目の技術だ。現時点では実証施設などでの限定的な利用にとどまるが、日栄インテックの他、シャープも直流給電対応のエアコンを発表するなど、将来に向けたメーカー各社の取り組みも進み始めている。
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