ニュース
水素サプライチェーンを2020年に神戸へ、発電用に大量の水素を輸送・貯蔵:自然エネルギー(2/2 ページ)
国を挙げて取り組む水素エネルギーの導入に向けて兵庫県の神戸市で実証事業が始まる。液化した水素を運搬・貯蔵する設備を瀬戸内海に浮かぶ空港島に建設して2020年に運転を開始する計画だ。石炭から水素ガスを精製する技術や海上輸送用のタンクも開発してサプライチェーンを構築する。
水素と再エネで「環境貢献都市KOBE」
神戸市では2030年度に向けて水素エネルギーと再生可能エネルギーを拡大する「環境貢献都市KOBE」を推進中だ。市内で消費する電力のうち30%を分散型のエネルギーで供給することが目標で、そのうち半分の15%を太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギー、残りの15%を水素を利用した熱電併給(コージェネレーション)システムなどでカバーする(図5)。
さらに市内の燃料電池車(FCV)を約1万台に、水素ステーションを7カ所に普及させる方針だ。市内全域で消費するエネルギーを2005年度比で25%以上削減して、国の目標値(2013年度比で26%削減)を上回る削減率の達成を目指す。すでに市内の各地で再生可能エネルギーによる発電事業が始まっているほか、水素エネルギーの拡大に向けて「水素スマートシティ神戸構想」を展開していく(図6)。
この構想の中に水素サプライチェーンの実証事業が含まれるほか、空港島に隣接する「神戸ポートアイランド」では水素発電による電力と熱を供給するスマートコミュニティの構想も進んでいる。川崎重工業が開発した1MW(メガワット)級の水素CGS(コージェネレーションシステム)を導入して、ポートアイランド内にある市の関連施設に電力と熱を供給する計画だ(図7)。
関連記事
- 水素+再生可能エネルギーで電力と燃料を作る、CO2削減の切り札に
火力発電に伴って大量に発生するCO2の削減が世界全体で緊急課題になっている。CO2を排出しない再生可能エネルギーに加えて水素を活用する取り組みが日本の各地で始まった。下水処理で発生するバイオガスや太陽光・風力・小水力発電から水素を製造して、燃料電池で電力と熱を作り出す。 - 水素エネルギーで日本をリード、太陽光発電も全国一の導入量
福岡県では早くから水素エネルギーの開発に取り組んで、先端的なプロジェクトを数多く推進中だ。太陽光・風力・バイオマスを使ってCO2フリーの水素の製造も始まった。沿岸部では大規模なメガソーラーが相次いで運転を開始して、内陸部の浄水場やダムには小水力発電も広がり始める。 - “ハマの風”から水素を作る、京浜臨海部で水素サプライチェーンの構築実証
神奈川県の京浜臨海部で、再生可能エネルギーを利用したCO2フリーな水素の製造と、その貯蔵、輸送、利用までを含めた水素サプライチェーンの構築を目指す実証プロジェクトの検討が始まった。自治体3者と水素関連事業を手掛ける民間企業4社が共同で行うもので、2016年4月以降に本格的な実証を開始する計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.