ニュース
架線で充電し蓄電池で走る、架線式蓄電池電車が今秋に営業運転開始:蓄電・発電機器
JR九州は、気道車に代わる次世代の車両として、架線の電気による走行と搭載した蓄電池による走行を併用できる架線式蓄電池電車「DENCHA」を2016年秋から導入することを発表した。
JR九州では、気動車に代わる次世代車両として、架線式蓄電池電車の開発を進めてきた(関連記事)。架線式蓄電池電車は、交流電化区間では、2万Vの交流が流れる架線から電力を得てモーター走行する。同時に常時、架線から得た電力で蓄電池に充電。非電化区間に入るとパンタグラフを下ろし、蓄電池の電力を用いて走行するというものだ。減速時には運動エネルギーを回生し、蓄電池へと充電する(図1)。交流電化区間で充電する蓄電池電車の導入は日本で初めてとなるという。
客室照明にはLEDを使用し、室内温度環境の維持のため押しボタン式の開閉ドアである「スマートドア」を採用し、省エネ効果を実現。また液晶画面の「マルチサポートビジョン」で車両内の電力の流れを解説するエネルギーフローなども表示する。愛称は「Dual ENergy CHArge train」から「DENCHA」とする。車両デザインは現行の817系をベースとし、青色のイメージで環境への優しさをアピールする(図2)。
JR九州では、筑豊本線(若松線)の若松駅〜折尾駅区間に導入し2016年4月から1編成2両で試験運転を開始。同年秋から営業運転を開始する。また2017年春には6編成12両を追加投入する予定だとしている(図3)。
関連記事
- 蓄電池電車で動力費5割減、JR九州
JR九州は2014年11月27日、蓄電池で走る電車の量産に着手すると発表した。「架線式蓄電池電車」と呼ぶ。交流電化区間で充電する蓄電池電車としては日本初だという。動力費の5割削減を目指す。 - 蓄電池を搭載した省エネ型の「バッテリー電車」、JR各社で走行試験が進む
日本の鉄道でも電化されていない路線は意外に多い。これまではディーゼルエンジンで車を走らせるのが一般的だったが、新たに電気自動車と同様のリチウムイオン蓄電池を搭載して充電した電力で走る「バッテリー電車」の開発・走行試験が各地で進んでいる。 - 路面電車に蓄電池を搭載、電力を供給する架線がなくても10キロ走る
鹿児島市の中心部を走る路面電車に蓄電池を搭載して走行試験を実施した。電気自動車に搭載されているのと同じリチウムイオン電池を使って、架線からの電力供給がない状態で10キロメートル走行することができた。停電対策に加えて、景観保護地域では架線を敷設しなくて済むメリットがある。 - 鉄道の変電所にも蓄電池、回生電力を貯蔵して走行中の電車に供給
首都圏を走る京王電鉄は沿線の変電所に蓄電池を導入する。電車がブレーキをかけた時に発生する回生電力を蓄電池に充電して、他の電車の走行用に放電する仕組みだ。従来は近くを走る電車間でしか回生電力を活用できなかったが、蓄電池を導入することで回生電力の利用効率を高める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.